小説

□補習
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逆3z銀高
数学教師高杉←生徒銀時


白いテストの答案用紙には、赤字で俺の頭の悪さを表す点数が記載されていた。
その赤字で書かれた点数を指でなぞってみる。
これを書いたのがあの人だと思うとなぜか少し嬉しくなった。








「と、言うわけで銀時、お前今日補習だ。」

高杉先生の呆れたような声が響く。
数学教師の高杉先生。俺のクラスの担任でもある。数学教師のはずなのになぜかいつも白衣を着ている。

「…俺だけ、スか?」

「お前だけだ。今日の放課後残れよ。」

高杉先生は面倒くさそうにそれだけ言うと
教室の扉をピシャリと閉じ職員室かどっかに向かっていった。

俺の前には高杉先生に渡されたテストの答案用紙。
14点と記されている。うーむ。

「これでもとった方なんだけどな…?」

だって高校に入ってから一気に勉強が難しくなったんだもん。
暗号みたいな言葉いっぱい出てくるしさ。

まぁいいか。

俺が補習という事実は変わらないんだし。

「先生に保健の授業でも教えてもらおー」

ヤベッ、考えたら止まらなくなってきた。




で、放課後。

「…おそい。」

教室に入ると高杉先生はすでに教卓に座っていた。
それを軽く受け流す。

「はいはーい、で、なにするんですか?」

「席につけ。で、この問題をやれ。」

そう言って高杉先生から渡されたプリント。
うげ。

「何コレ。何この数。頭いてー。」

何問だ?100、200、それくらい?

「計算は量をこなせ。俺が作ってやった問題だ。ありがたく解け。」

「ありがたくって……」

「はやくやれ。」

そう促され席に着きおとなしく問題を解く。

………。

カリカリカリカリ…。

静かな教室に俺のシャーペンの音が響く。
お。ここヅラに教えてもらったところだ。

カリカリカリカリ…。



「んー。ま、こんなもんかな。」

やっと全部解き終わった。
解らないとことかヅラに教えてもらって正解だったな。

んー、と大きく伸びをする。

さてと、高杉先生とはなんにもできなかったけど帰るか。

「先生、終わりましたよ。」

「……。」

「先生?」

返事がなかったので顔を上げて高杉先生を見る。
ありゃりゃ。

「寝ちゃってるよ…。」

そういえばこの問題作ってたっていってたもんな。寝不足なのかな。

「センセー…?」

「…。」

「…襲っちゃいますよ?」

「……。」

駄目だこりゃ。真面目に熟睡中だ。
んー…。
スるときは先生が意識あるときシたいしなー
だからといってこのまま帰るのもアレだし…。

…。起こすか。

「センセー起きてくださいよ。」

高杉先生の華奢な肩をゆする。

「んん…。」

「あ、起きた。」

そうすれば高杉先生は潔く目を開け、翡翠色の瞳が俺を捉えた。

「…、銀時、か、」

色っぽい声で俺の名前を呼ぶ。

その声で、俺に縋れば、その瞳が涙でいっぱいになれば、白い顔が、羞恥に染まれば、

そんなにいいんだろうか。

「銀時ぃ、問題、終わったか?」

寝起きだからかすこし声がいつもと違う。

「…せん、せ。」

「…、なんだ?」

もう我慢できない。



補習

その声で俺に縋るのは何分後?



おわり



あれ、なにこれ、最初は純愛路線目指してたのに…。

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