いろいろ

□タイトルは未定なんだぜ
1ページ/1ページ

土←銀←高みたいな描写注意報。土方君が出マミってるので注意。

ドロリと重い空間に、高杉は一人立っていた。
どこからか誰かのすすり泣く音だけが聞こえる。高杉は、その時点でこれが夢だということに気がついた。

「……またか」

高杉は何度もこの夢、この悪夢を見ている。嬉しいことがあった日や、楽しいことがあった日、そういう日に限っていつもこの夢を見るのだ。まるで高杉に一生喜びなど与えないというように。

高杉が夢だと気がつくとただの真っ暗な空間だったものが変形し、突如として高杉の目に沢山の菊の花がみえた。花の中央には大きな写真があり、写真の人物は幸せそうに笑っていた。そして、その写真の下には棺があり、そこにすがり付くようにしているのが、この心臓を抉るような気分にさせるすすり泣きの主だった。

この夢は、10年前のとある葬式での光景を元にして構成されていた。本来ならば葬式に参列した人やお坊さんのお経などもあたあったのだが、今は一切消去されている。

10年前のことだ。ある男子高校生が、車にはねられて死亡した。不運な交通事故。全国的にみればよくあることだ。高杉はその死亡した男子生徒の近所に住んでいた。よく遊んでもらうことがあったので、高杉はその葬式に参列した。その際、高杉はまだ7歳であった。だが、そこでみた光景が、高校生となった高杉の目に焼き付いている。

高杉の近所にはまた、その男子生徒と同い年の男がいた。彼は珍しい銀髪の髪をもち、その男子生徒と頻繁につるんでいた。よく一緒にいたので兄弟に間違われたこともあった二人だったが、実はその二人は同性でありながら恋仲の関係にあったことを、高杉だけが知っている。

夢の続きに戻る。
高杉はあのときのように幼い少年の姿をしていたが、銀髪の少年――銀時は今の姿、27歳の成人した姿で棺に抱きついていた。銀時の、なんで、と叫ぶ悲痛な声が高杉の耳に響く。

「俺も連れていってくれ……」

夢が終わる、と高杉は思った。いつもこの夢は銀時が棺に抱きついて俺も連れていけと懇願するときに終わるのだ。銀時は泣いているが、高杉は思う。あの人は確実にあの日銀時の心を連れていった。あれ以来、銀時はずっと濁った目をして笑わなくなってしまったのだ。

視界が白く包まれる。夢が終わるのだ。

また、朝がやってくる。





単刀直入に言おう。高杉は銀時のことが好きである。だが、それは叶わない恋だと高杉は思っていた。何故なら銀時の心はもうずっと昔からあの男子生徒に捧げられているのだから。

高杉は高校生になり、銀時は社会人になった。高杉と銀髪の仲は悪いということはなく、寧ろいい方であった。銀時は成人したが、よく高杉と一緒に話してくれるし、高校に入ってグレた高杉の保護者のような役割も担ってくれている。銀時は優しい。ただ、心だけがない。

高杉はベットからむくりと上半身を起こし、傍らのスマホで時刻を確認し盛大な遅刻であることを認識すると、二度寝するか学校へ行く準備をするか迷い、のそのそと準備をし始めた。といっても高杉は顔を洗い朝御飯を食べ黒い学ランに着替えただけで、そのスクールバックには教科書や参考書類は一切入っていない。入っているのは短めの刀、スタンガン、家の鍵、財布だけであった。なぜ物騒なものも入っているかというと、高杉はよく他人に絡まれるからである。高杉本人は絡まれる理由は自分がヤンキーだからだと思っているが、実はそれだけが理由ではなく、高杉がとても整った容姿をしているからという理由もあった。高杉は13歳の頃誘拐されかけて、銀時に助けて貰うという経験をしたこともあった。その時に銀時の登場に焦った誘拐犯に左目を斬られたが、負傷はそれだけで、その誘拐犯は当時白夜叉と恐れられていた銀時にぼっこぼこにされていた。このスタンガンは、高杉が銀時から護身用にと貰ったものである。高杉はそれが銀時から自分が自分の身も守れない子供扱いされている気がして嫌だったのだが、 実際あのときは守れなかったのだし、いざ使ってみると案外使えたので、常に携帯している。因みに、刀は高杉のただの趣味だ。高杉はなんとなくかっこいいという理由でこの物騒なものを携帯していた。

高杉はぺしゃんこの軽いスクールバックを肩に掛けるようにして持つと、学校へ向かった。






リレー小説なのでこの続きは移住計画の管理人さんが書いてくれます。6話くらいまで続く予定です。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ