BL短編

□ゴシル/ポケスペ
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ゴールドは女の子が好きらしい。




「そこのギャル、お茶しない?」
「あの子、可愛いな。」
「あ、90点見つけたぜ。」


そんな事言いながら、あっちへこっちへ。
言葉をかければフラれて戻ってくる。


「ふ、俺のかっこよさに目がくらんだな。」


コイツこんなナルシストだったか…
しかも、今日これで何回目だ。




「なぁ、シルバー。あのねーちゃん可愛くね?」
「…そ。」
「ちょっと声かけてくる。」
「好きにしろ。」


異性に対して疎い俺は、可愛いというものが何か分からない。
しばらく話して、まぁフラれて帰ってきたゴールドはなぜか様子がおかしい。


「しるばぁ〜…。」


弱々しい声でよってくる彼に、事情を聞く。


「あの人シルバーだったら、遊んでもいいってー。」
「…。」
「いーよな。お前はなんかモテるよなー。俺もギャルからちやほやされてぇ。」


もう一度言おう。
ゴールドは女の子が好きらしい。

いつもの事だ。
そのはずだ。
でも、なんか嫌で。


「…勝手にしてろ。」



そのままスタスタと前を歩く。
ゴールドの声が聞こえたが、無視して進んでいった。


「ちょ、シルバー。」
「…。」
「無視すんなって。」


ちょうど路地裏に入ったあたりで、手を掴まれる。


「なんで先行っちゃうんだよ。」
「…。」
「あ、ナンパが嫌だったか?じゃあ、止めるから。」


そういうことじゃない。
俺が言いたいのは、


「お前は、」
「?」
「女が好きなのか?男より好きなのか。」


我ながら、恥ずかしい質問をしたと思う。
ゴールドもキョトンとした顔をしているし…


「…好きだぜ。そりゃもちろん、俺も男だしな。」
「…っ。」
「あ、でも俺んなかでは、男<女<シルバーだから。シルバーが一番だから。」


なんか、すごいたらしみたいな台詞だ。
これが本当の言葉だとは分かっているのだが…
ゴールドだからか、信じ難い。


「なんだよ、そのジトーっとした目。俺のこと、そんなに信じられないか?」
「…なぜ、ナンパをするんだ。」


それは…、と頬を掻き口がもごもご言ってる。
やっぱり女の方が…


「だ、ってさ、最近シルバーかまってくんないし。こーすれば、その…」


正直驚いた。
いつもは俺にどんなに無視されようとも、普通に構えてるし。
顔を赤くしてるゴールドなんて、滅多にみれない。


「…なんだ、そういうことか。」
「?」
「寂しがり屋、というやつか?」
「なっ、…じゃあシルバーはやきもち妬いてたよな。」
「それは、その…」


俺が顔を赤くし始めると、形勢逆転!、とか言いながら、にやついてる彼がいる。


「っ…勝手にしてろ!」
「あぁ、シルバー、待てよ。」


さっきと同じ言葉だけど、足並みはゴールドに合わせて。
笑顔で話している彼の横で、頬を軽く緩ませながら歩いて行った。



訂正しよう
ゴールドは俺の事が好きらしい。
そして、
俺はゴールドの事が大好きらしい。





→あとがき
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