BL短編

□古キョン/涼宮ハルヒの憂鬱
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明日は俗にいうバレンタインデーという日である。
女子が市販のチョコを溶かして冷やしたモノを「手作り」と言い張り、好きな男子に渡す。
故に男女とも無駄にそわそわし、一日を過ごしていく。
こっちから見ればハタ迷惑な話である。


「明日はバレンタインデーですね。」


2月13日、SOS団の物となってしまった文芸部室。
一応、マジで一応、恋人である古泉一樹の口から出た、デカい独り言が部室に響く。
ちなみにウチの女子三人組は、明日に向けてとかなんとかで、早めに帰りやがった。


「この行事、外国では女性があげるのではなく、男性があげたりするらしいですよ。」


だったらなんだ?
ここはアメリカじゃなくて、ジャパニーズだ。
そんなに外国のルールに乗っ取りたかったら自分で作れ。
そしてハルヒにあげろ。
アイツ喜ぶぞ。


「ふふっ、僕よりもあなたから貰った方が、彼女は喜びますよ。」


寝言も大概にしろ。
なんて言ったら、なんともいえないってカンジの顔をした。

<キーンコーン…>


「あぁ、もう最終下校の時間ですね。では、帰りましょうか。」


なんていいながら、俺に手を差し伸べる。


「ばっ、ばかじゃ、ねぇの。」


そういって、つかつかと先を歩く俺を後ろから追いかける、古泉。
いくら突っぱねても、営業用スマイルで俺に近づいてくる。
コイツの本当の笑顔をみたいな…なんて思う俺は、本当にイかれてるんだろうな。

そのあとも、古泉が一方的にあーだのこーだのと話ながら家路についた。
こういう仲になってからは、いつも俺を家まで送ってくれる。
女じゃあるまいし、って言ったら、貴方は色気があるから心配です、とか訳の分からない答えを返した。
男の色気ってなんだ?


「それでは、また明日。」
「あぁ、またな。」


俺が家の中に入るまで、見守ってくれている。
すげぇ恥ずかしい。
ドアを閉め、古泉の気配を感じ取れなくなってから、家族に挨拶をする。


「ただいまー」
「あー、キョン君おかえりー」


言わずとしれた俺の妹。
顔を見ると、頬に茶色いモノがついていた。


「あのねー今、バレンタインのチョコ作ってるのー」


俺の思考を読み取ったかの様に、聞いてもいない質問に答えてくれた。
そういえば、さっき古泉がバレンタインの話してたな…
確かに恋人に贈る日だけど、さすがに男が男にって…
そ、そりゃ、さ、あ、あげたいけど…
恥ずかしいな…


「キョン君もお手伝いしてー、あたし1人じゃ出来ないのー。シャミもできないしー」


猫に任せてどうすんだ。
しかも誰に渡すんだ。


「んーとねー…」


要するに、女友達にあげるらしい。
友チョコというやつか。
…ん?友チョコ?そうか!
友チョコという名義にすればいいのか。
万が一周りに疑われても、妹にあげるように頼まれた、みたいな言い訳をすればいい。
でかしたぞ!俺!


「仕方ない、手伝おう。」


とか言いながら、やる気満々の俺。
こんなの谷口に見られたら…死ぬな、コレ。
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