恋戦隊☆LOVE&PEACE(長編)

□Lovesick vol1(猿飛)
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結と山崎から逃げるように去った黄平は、紗枝と共に夜を過ごしていた。しかし・・・彼女は素っ気無い態度で、手早く身支度を整えていく。

「…ごめん」

「何かあった?黄平」

「え?」

「途中でやめるなんて思わなかった・・・」

「ホントに、ごめん…」

殊勝な態度で平謝りされ、紗枝は苦笑を漏らした。そして、ふぅと一呼吸すると、髪を束ねながら、猿飛に尋ねる。

「もしかして、アレ?…ついに本命が現れたとか?」

「ちょ、何言ってるの!?」

「ふーん、図星か・・・つまんないの。黄平とは、いい関係でいられると思ってたけど・・・残念」

「…紗枝ちゃん」

「まぁ、偉そうな事言えた義理じゃないけど…。本気なら、ちゃんと相手と向き合う事ね。でないと、相手に失礼だよ」

「……」

「じゃね〜!」

紗枝は、手元にあったバッグを手に取ると、振り向く事なく部屋を出て行った。

「……はぁ。何やってんだ、俺」

一人部屋に残された猿飛は、ぼんやりと宙を見つめ、深いため息をついた…。


故郷の掟がある以上、本気で人を好きになる事は、自身の首を絞めるに等しい行為だ。それゆえ、自ら遊び人を演じていた所もあったし、絶対に本気にならないように自身の気持ちに鍵をかけていた。
正直な所、今まで遊びと割り切って関係を持った女性は、数えきれない程だ。


しかし今、自分の心に芽生えた気持ちに、猿飛は戸惑いを隠せないでいる。何故、一人の女性を想うと、こうも心が乱れるのか。

「あ〜、わかんねぇ・・・」

猿飛は、無造作に身体をベッドに預けると、一人、ホテルの天井を仰いだ。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


その頃、結は山崎と共に、バーで酒を楽しんでいた。

「さて、あと一杯飲んだら帰ろうか?」

「結構いい時間ですね。バスはもう終わっちゃったな…」

「お前が良ければ、ウチに泊まっても構わないけど?」

「え〜、山崎さん直球!そうやって女の子を誘ってるんだぁ」

茶化して答えた蓮は、隣に座る山崎の目が笑っていない事に気付いた。

「山崎…さん?」

「俺、マジだけど?」

「や、やだなぁ、山崎さん。酔って……!?」

突然結の手に、山崎の手が重ねられる。思わず手を引っ込めようとしたが、山崎の手はそれを許さず…。そのまま指を絡められてしまった。

「あ、あの…」

「ちょっとアルコールは入ってるけど、俺マジだからさ…。気付いてなかった?」

「すみません…」

消え入りそうな声で答えた結を、山崎は愛しそうに見つめていた。しかし、それ以上強引な態度は取ることなく、そっと手を開放してくれた。

「黄平さんが気になる?」

「へ?」

またしても予想外の発言に、結の思考回路が固まる。何故ここで猿飛の名が飛び出たのか…色恋沙汰に無頓着な結は、さっぱり理解できないでいた。

「お前の職場の話題って、桃井さんと黄平さんの事ばっかりだろ?話題に上がるって事は、少なからず気になるって事だろう?」

「…そうかな」

「ぷっ…あははは。お前、ホンットにこの手の話題に鈍いよなぁ」

山崎は堪えきれずに笑い出した。
結は居心地が悪くなり、ぷっと頬をふくらませる。

「笑う事ないじゃないですか…」

「わるいわるい…。けどさ、俺本気だから。お前も考えてみてくれよ…な?」

「……はい」

山崎は、優しく結の髪をなでる。
思ってもいなかった告白に、結は激しく動揺していた。
山崎は頼りがいのある先輩で、信頼も厚い。とはいえ、恋愛感情かと考えると違う気もする。そして、山崎の口から出た猿飛の名前。彼の名を聞いたときに感じた、何ともいえない気持ち…。
その日以降、結は眠れぬ夜を過ごす事となる。


まさかの続く…:(;゙゚'ω゚'):
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