乙草色

□レイン
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(キス…されそうになった?ボクが…?)
オタマと鍋の蓋で防御を強いられるニールと、今にも包丁を振り回しそうなウォルの必死の攻防を、違う意味でドキドキしながら見ていた。

夜を迎え、ニールは一人ベッドで考え事をしていた。
(レインは今頃、ウォルと寝てるのかな…俺もアイルー連れてくりゃよかった!)
「うわぁぁぁーん、うぉるのばかぁぁあー!」
飛び起きた。
「ごめんニャー!」
「うわああぁぁぁあーん!」
「そんな、泣かないでニャ!直すから、元通り直すから…そんなに泣かないでニャー!」
「あああぁぁーん!ばかぁぁあー!!」
階段を降りて、レインの部屋の扉を叩く。
「レイン。レイーン!どーしたー?!」
「うぉるがばかぁぁ!」
扉を開けると、レインが床の上で大泣き、ウォルはあたふた。
「直すニャ!どーにかして直すニャ!そんな大切だって知らなかったのニャー!」
ベッドの上には、割れたペンダント。
「ぁーあ、コレ…直るかや?」
「おかーさーん!うわぁぁああー!!」
「ニャァアー!」
部屋の中は、混乱の極み。
俺は、ペンダントをじっくり眺め、直るかどうか検討した。
何かの紋章を象ったコイン程のペンダント、その紋章を何処かで見た憶えがあるが、今はそれが直るかが問題だ。
コインは歪んではいないがパッキリと割れていて…ん?パッキリ?
「レイン、落ち着け。直るぞ」
「…ひっく、なぉる?」
「直るニャ?!」
「直りますよー。明日、武器屋に行って直して貰おうな。さー寝ようなー」
「…くぅ」
「安心して寝ちゃったニャ…」
「…寝るか」
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