乙草色

□ゆーたんの出発
1ページ/5ページ

「お父さん、おはよう。お母さんは?」
「ユウ。おはよう、お母さんなら村長の所だよ」
ボクは何時ものテーブル位置に座って最後の朝ごはんを食べる。
昨日の夜に、お父さんに言われたんだ。
ボク、ハンターになるんだって。
だからこの家で朝ごはんを食べるのはこれで最後。
お母さんのアイルー、ティアナに作ってもらったおにぎりと焼き魚とサラダを食べながら、新しいボクのアイルーが来るのを待った。
「ただいま〜」
「おかえりお母さん!」
村長さんの所から、戻ってきたみたい。
ハンター登録の手続きが終わったんだ…
胸がドキドキした。
「…この子が私のご主人ニャ?」
「そうよ。ユウ、メラルー種でアメショーの、ウォル。貴方の相棒よ」
「よろしく、ウォル」
ウォルは、眼をぱちくりさせてボクを見る。
「…ガラシャさん、私のご主人は男の子だと聞いていのだがニャ」
「ハンター登録は男よ?」

時間が止まった…

『ええぇぇぇ〜?!』
「お母さん、ボク女のコ!」
「ガラシャ…まさか本当にやるとは!」
「やっぱり女の子ニャ?!」
お母さんは満足気に笑って、ボクの目線まで腰を下げる。
「ユウ、貴女はもう12歳ね…女の子が男達の中に混じって狩りをする事は珍しくないわ。自分が女の子だから…って言い訳しないのは解ってる。でもね、何事も出だしが肝心よ。貴女がG級まで上がってこれたら、お母さんはギルド長に頭を下げて登録を女の子にします。それまでは、男の子として生活しなさい?」
「…はい!」
お母さんの言いたい事は要するに、じーきゅうまで来れたらまた自分の子供として迎えてくれる、と言うこと。
お母さんの子供(村の設立者の一人の孫娘)という甘い目線で見られない様にするための策だった。
「まずは訓練所に行って、好きな武器を選びなさい。村長がクエストを用意しているから、村から出る前に必ず村長に合う事。いいわね?」
「ボク、必ずじーきゅうまで頑張るよ。…行ってきます!」
少し寂しさがあったけど、お母さんにちゃんと認めて貰えるように、と心を決めて…用意した装備で家を出た。
これからはユウ・フローライトではなく、ハンター初心者の少年ユウとして生きて行くのだ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ