奏でる指先

□嵐にしやがれ(前)
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オッス、オラ不二山!
オラと一緒に柔道しねぇか?

……なーんてな!

よっ、俺の名前は不二山嵐。
好きなものは男と柔道。見ればわかると思うけど、生まれながらのガチホモだ。


ところで話は変わるけど……。最近、俺、一人の男に“恋”をしたみたいなんだ。

なんか、その人のことが頭から離れなくて夜も眠れないし……
胸がドキドキして、プロテインを持つ手が震えたりするんだ。

(ハァ……)

どーすればいいんだ。こういうのって。

ちなみに俺の恋した人は、同じはばたき学園の一学年上の先輩で、設楽さんというツンデレだ。
設楽さんはいつも、放課後の音楽室でピアノを弾いている。

その音楽室のドアの隙間から、俺は毎日のように設楽さんの白い横顔と、滑らかな指の動きに見とれていた。

硝子みたいに透明な音を奏でる指先で、俺のあんなとこやこんなとこにも触って欲しい!

そんな想いを、胸にくすぶらせながら。

(ハァ……どうせ、ノンケなんだろーけどな。)

……って!
なんもしないうちから、んなこと考えて落ち込んでたって、しょーがねぇよな!

深呼吸して、俺は覚悟を決めた。

先のことなんてわかんねーけど……
今日こそ俺は、設楽さんをデートに誘うぞっ!
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