頂き物T
□黒い瞳
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<雪の夜>
「ロシア皇帝ピョートル三世」
などと名乗っているが、所詮コサックの親玉でしかない。
そんなことは百も承知のうえだ。
俺の立場が砂上の楼閣だということは…
だがどうだ。
今更俺を信じて集まったこいつらを放り出すこともできまい。
俺は俺の信じる道を突き進むしかない。
どんな結末が待っていたとしても…!
あの先生が言わんとしていることもわかっている。
生まれながらの貴族のお坊っちゃん、その日に食べる物の為に苦労などしたことのないあの男…
決して交わることのない俺たちなのに、あの男の言うことが解るのは何故なんだろう。
…また吹雪になったようだ。
こんな夜だ。
この極寒の痩せ細った大地で食べるものもなく死んでいった多くの同胞を思うのは…
先生…
俺は俺の信じる道を突き進むだけだ。
「プガチョフの乱」に陰りが見え始めた頃。