頂き物T

□あなたをみつけた
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Sonoka

千秋楽を終え、充実感と疲労感を携えて、劇場を後にする。

今日来てくれている筈…
開演前袖から客席を見渡したが、お得意の“オーラを消す”だったのか、見付けられなかった。

「不覚だよ…私」

あんなに大切な彼女をみつけられないなんて…
幕が上がれば、舞台に集中し、役が降りてきてそれどころではなかったんだけど…

カーテンコールでも分からなかった。
もしかしたら、先に出たのかもしれない。
それとも、桂の発表があったから、上京が遅れたのかな…

などと考えながら劇場の外へ出た。


そこで、私の目に飛び込んできたのは…

少し俯いて、佇んでいる彼女だった。


頭で考えるより早く、駆け出していた。



「うあっ!!」

「まっつ!!
来てくれてたんだね!!」

「ビックリさせんといて!!
飛び付く前に声掛けるのが普通やろ…」

「だって〜嬉しくって。
今日来てくれないのかと思ってさ、劇場で見付けられなかったんだもん。」

そう答えた私に彼女は少し眉を寄せた。

「園加、私探して舞台に集中せえへんかった…
とかないやろな。」

「いやだなぁ〜
幕前に探しただけ、ちゃんと全身全霊で集中したもん…
そう見えなかった?」

「いや、いい舞台やった。園加凄くよかったよ。
私も明日からの舞台稽古頑張るよ…
けど、そろそろ離れへん?
往来でしがみつかれるのも、恥ずかしいんやけど…」

だんだんと声が小さくなる彼女。

本当に恥ずかしいんだ、と思うと嬉しくなる。

イタズラ心がウズウズしてきたぞ。


「え〜、久々にまっつに会えたのにぃ〜
離したくなぁーい♪」

更にギュッと抱き締める。
腕の中でジタバタする彼女。
可愛いなぁ〜


「園加、逃げたりせえへんから離れてよ…」

顔が真っ赤だ♪
私は耳許で囁いた。

「逃げないんだね。今日は帰さないから…
さっ、帰ろうか。」

ギュッともう一度抱き締めてから解放してあげて、だけど彼女の手だけはきつく握りしめて離さなかった。

諦めたのか、大人しく着いてくる彼女を連れて、私は幸せな気持ち一杯で家へと急いだ。



翌日、彼女は少し寝不足な顔で入りに現れたらしい。


まっつファンの皆さんごめんなさい。
嬉しくてなかなか寝かせてあげれなかったのです。



☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆


例の園加さんのブログ記事に触発されて、真彩様より頂きました。

リアルが妄想の上をいくおふたりが微笑ましいです(笑)
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