頂き物T

□PRECIOUS LOVE
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「なあ、桂、ゆっくり瞳を閉じてみて。」

「こんな感じ?」




とあるショーでの一場面。
男役同士のキスシーンがあるという。
どうもタイミングがうまくいかずにKISSしているように見えない。

何度稽古しても、うまくいかなかった。
さすがにこのシーンばかりを稽古するわけにもいかず、あとで二人で自主稽古することにした。




稽古場の電気も消え
音月と未涼の二人だけが残る稽古場…。

「ねえ、まっつ、ここのシーンはさ、私がまっつに迫っていけばいいんだよね?」

「……」

「違う?まっつが迫るのが正しいの?」

「……」

「ねえ、なんで、黙っているの?
おかしなこといってる?」

音月の問いかけに、応えない未涼。
しばらく沈黙が続いた。

何分そうしていただろうか…。
その沈黙を破ったのが、冒頭の未涼の一言だった。




「っ…!」

音月は一瞬、何がおきたのか分からなかった。
自分の唇に温かい何かが…。

「っ、ちょ!!!
まっつ、何???」

「桂、今の顔、めっちゃ、色っぽかったで。」

「そう…って、違うでしょ。
何?えっと…。
つまり、このシーンはまっつが迫るのが正しい解釈なの?」

「そんなの、どうでもええやん。
桂にKISSしたくなったからしたの。
それだけ。」

「それだけ、って…。
そっか…。」

「そんなに、落ち込まんでもええやん。」

「え…。
落ち込んでないもん。
お稽古なんだもんね…。」

「いくらお稽古でも、好きじゃない人にKISSはしないよ。」


未涼はさりげなく告白しているようだが、音月にはそれを理解するだけの理性は残っていないようだった。

未涼にKISSされたことをどういい訳しようか…。

その行為をそれだけと言われて、あからさまにショックを受けた自分をどう取り繕うか…混乱していた。

「桂?続きする?」

「えっと…
曲の続きあるし、最初からする?
でも、もう遅いし今日はここまでにしない?」

「桂?
何、動揺してんの?」

「…動揺なんてしてないし。
まっつが急に変なことするから、びっくりしただけ!
舞台でも、本当にしないでよ!
お客さまがびっくりしちゃうし。」

「まあ、それは桂次第やな。
桂が、さっきみたい色っぽい顔したら舞台でも、本当にKISSしちゃうかもしれへん。」

「もう〜何?
まっつ、どうしたの?
今日、おかしいよ!
お稽古しすぎなんだよ。
今日は、ここまで。
お疲れ!」

「桂?なんで、逃げるの?
私のこと、嫌い?」


(嫌いなわけないよ。
むしろ…
ずっと、好きだった…!)




―――――――――――


類様

[まつけい]本当にありがとうございました♪

続きを期待して待っております
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