読んじゃう?

□醜くも輝くだろうか
1ページ/3ページ








『今日は12月××日水曜、天気は曇りのち晴天。いつもより少し冷たい風がふくでしょう』

朝、付けてたテレビがそんなことを言ってた気がするけど、俺が見る限りは晴れる見込みはありそうにないと思ったが、天気のことなんて、理科で少しつまんだ程度の俺がそんなことを思ったのは、感想に近いものだった。
しかし、晴れる見込みはないとは思ったが、天気が悪化するとは少しも思わなかったわけで、テレビの天気予報は外れたが、俺独自の天気予報が当たるわけもなく、外れるわけもなく、空は雨雲に覆われ、少量の小雨が降っていた。雨は降り始めたばっかりだし、雨雲の様子からみるに、これは暫く止みそうにないどころか強くなるとまた身も蓋も無い予想をしてみる。
まあ、天気は神様の気まぐれって言うし、さっきのは本当に偶然なだけで今回は当たらないかもしれない。神様の考えなんてぼくにはわからないし、気まぐれや思いつきほど先を読めないものはないと俺は思う。まあ先が読めても行動できなきゃ意味がないのだが。
しかし、今は当たる当たらないが問題ではない。俺は今学校帰りで、何時も鞄に入れていた折りたたみ傘がたまたま昨日、日干しのためと出したっきり家に置いてきてしまい、俺を雨から守るものがなく、現在地であるこの公園から家までは走っても結構な時間がかかるのが1番の問題である。
別に俺は濡れるのは構わないし、雨が嫌いなわけではないけど、ズブ濡れて帰るとブラコンで過保護な姉がやたらと五月蝿いし、折りたたみ傘をちゃんと持って行けと、耳にタコができるほど言われたのにもかかわらず忘れて学校にいき、ズブ濡れで帰ったとあれば説教も倍増だ。一緒に帰ってたやつとは数分前に別れたばかりだが、あいつはあいつで足速なやつだから既に遠くにいるかもしれない。探すのは時間の無駄であろう。とりあえず色々な被害を免れるため、小雨のうちに帰らなければと早足だった足を駆け足に変え、早々とうちに帰るー…

バシャアアアアアッ

つもりだったが俺は予定を変更して、雨宿りできる場所へと直行した。理由は言うまでもなく、大袈裟な比喩表現ではなく、本当に雨がバケツをひっくり返したように土砂降りになったからである。
どうやったら雨の効果音で『バシャア』なんて音がでてくるのか教えていただきたい。
場所が場所なために雨宿りのできる場所は心得ていたため、見つけて到着するのは早かった。硝子の屋根、そしてその下、屋根の真ん中に位置するところに木で作られた机とイスが机を囲うように4つ置かれているだけのどこの公園にもありそうな休息場。休日には子連れの親がここに居座っていたりするが、天気も天気、時間も時間だからだれもいない。
鞄を机に放り投げてから自分のありさまを確認したが、既に髪から水がしたたり、制服の上着とズボンはくっきりと雨の跡を残し、鞄は元の色がわからないほどに変色をしてる。雨の中にいたのは数分だったが、被害は決して小さくなかったようだ。教科書とかは置き勉してるため、中に濡れて困る物は入ってはいないのが救いなのかもしれない。
仕方がない、と自分に言い聞かせて犬のように頭をふり、髪から水分を飛ばしてイスに座って硝子張りの天井を見るとまだ土砂降りが続いているのか、雨粒が強く硝子をたたいて耳障りな音を立てている。




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ