読んじゃう?

□違和感エンドレス
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はて、私は何をしているんだろうか。

私はふと目が覚めました。
目が覚めた、というのは正しいけれど今の現状的には相応しくない、訂正します。
私は目が冴えました。
丑三つ時の出来事、普通に寝ていたはずの私は唐突なる違和感によってはたき起こされたのです。
違和感にはたき起こされるってなんでしょうね、私もはじめてで戸惑っています。
なんでしょう、こう…なにか大切なことを忘れてもやもやする感じ。
それはとてもとても気持ち悪く、胸くそ悪い気分で、人でもぶん殴って発散したいくらいです。
こんな感情ははじめです。

「おや?」

ぽた、と生暖かいものが私の手のひらに落ちました。
気づかぬ間に汗でもかいていたんでしょうか。
体感温度はそんな暑くはないのですが。

「おや。おやおや?」

なんでかとまりません。
拭っても拭っても次から次へと流れ落ちてきます。
迷惑なやつらですね、私の水分と塩分を奪っておきながら。
困ったなぁ、本当にとまりません。

「むむむ。」

私はそれを放っておくことにしました。
触らぬなんとやら。
こう言うのは止まるのを待つのが一番いいと思うのです。
意思で止められないのだからそうするしかないんですけれどね。
ところで、私の携帯は何処にいったのでしょうか。
携帯依存症なので手元にないととても不安です。
こりゃ大変。

「ないないなー。おっ」

視界の端でチカリ、と青いランプが光りました。
私の携帯のお知らせランプです。
何かしらを受信した証です。
携帯を開いてみると、案の定メールが届いていました。
ロックを外して今度はメールを開きます。

「あ。」

私の大好きな人からのメールでした。
お勤めが終わっての、ただいまメール。
そこで私は更にああ、と声をあげるのです。
私はこれを待っていて、寝てしまっていたんだと。
寝る前に最後に見た時計をなんとか思い出してみれば、8時過ぎだった気がします。
そう考えると、随分寝てしまっていたんだなあと染々考え、返信用のフォルダを開いて短文でおかえり、とだけ打って思い直すのです。
このメールの受信時間は10時頃きっと今の時間、彼はもう寝てしまっているんじゃないかと。
彼は多忙なのです。
そんな中メールをして、来ない返事を待ち続けて朝違和感にはたき起こされるなんて素敵なエンドレスが待っているかもしれない。
メール画面を閉じて、携帯を閉じて、目を閉じて考えるのです。
嫌でも、もし起きてたら彼はきっとありがとうと返信をくれるはずです。
確率は50/50だから、送っても…。
自分の醜い思考に舌打ちをすると、なぜだか勝手に口角が上がりました。

「この性格は嫌いです。」

全部全部、相手の現在考えて相手の反応を考えて、計算して、答えを出してから行動を起こす。
嫌でも考え、勝手に喜び、勝手に落胆して、相手を物のように扱う。
決して彼は私のモノではない。
知っています、そんなこと。

「ならせめて、」

彼のモノになって生涯を共にし、使ってくれればいいのに。
そこまで考えて、吐き気と頭痛を催したのでやめました。
がんがんと痛む頭のリズムにあわせて、何も入ってない胃から何かがせり上がってくるのを感じて顔をしかめます。
唇を噛んだら、その唇がとても乾いてることに気づきました。
さっきまで私の顔を伝っていたものを気がつくと止まっていて、私に水分が大分足りてないことを知ります。
とりあえず、今日は水でも飲んで寝るとしましょう。
きっと朝になればすべてを忘れ、また普通に笑えるんですから。
彼もきっと笑ってくれる。
せめて、素直な女の子らしい性格だったらなぁと考えると同時に意識は飛びました。

そんな私は今、幸せです。





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