読んじゃう?

□2分の1彼女
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暗転。
後頭部への強い刺激と、身体全身を蝕んでいる鈍い痛みと怠さに、俺は目を覚ました。
目を開ければ、真っ白いわが家の天井が睡眠で痛む俺の目を癒してくれる。
しかし俺の思いに判して、目の前は真っ暗だった。
あれ?まだ夜中だったかな?
不思議に思い何時も通りに時計の方に首を傾けてみた。

「いででででででででででぐぼがっ!?」

首が有り得ない方向に曲がってもがいていたら、重力に従うかのように俺の脚、いや、正しくは下半身が上から落ちてきた。
いやいや、従うかの様にじゃねーよ。
下半身とは下にある半身をさすから下半身というのであり、けっして上からふってくるなどあってはいけないのだ。いけないはずなのだ。
なのに落ちてきた。
なんてこった。
俺の上半身と下半身は上下逆転してしまったらしい。
これからの人生、俺は手を脚として使わなければならないのだろうか。その場合、頭とかどうなるんだろうな。
そこでふと気づいた、視界が明るい。

「あり?」

俺の愛用の椅子(コロコロがついてるくるくる回るタイプのやつ)がなんと、いつもの倍くらいあるではないか。
椅子だけではなく、椅子とセットで買った愛用の机まで倍になっていた。
どうした、俺。
なんかまずい物でも食べたのだろうか。
落ちていた幼女のパンツでも食べてしまったのだろうか。

「ありえるな…」

俺の性格を考慮すればそれくらいはありえなくはないだろう。
勿論、嘘だけど。
ただたんに、俺が床にねっころがった状態であるだけで、机も椅子も実際は同じ大きさである。
とりあえず立ち上がってみた。
机の上においてあるパソコンの電源がつきっぱなしになっているではないか。
そこでやっと合点がいった。
どうやら俺は昨日、パソコンでえろ小説を書いてる最中に寝てしまい、寝相悪くごろごろしている間に椅子を支えに首倒立状態で落ち着き、その状態のまま朝まで寝てしまっていたらしい。
どうりで首が右に曲がったまま動かないわけだ。
例えるならばビートたけしのような状態である。

「人名を出すんじゃない」

自分で自分にツッコミを入れてしまった。
自作自演乙とぐらいにしか言えない。
湿布まだあったかなー、文もあとで伏せ字にしておかなければ。

「あたたたたー…」

無理矢理頭を中央に戻して肩を回していると、これまた愛用の目覚まし時計がけたたましく鳴り出した。
ぎゃぁああああああああ!!と。
ホラー映画よろしく、女性の悲鳴である。因みに大音量。
俺の朝は、この悲鳴のおかげで綺麗過ぎるほどすっきりおきられるので何時も感謝している。
いい仕事してるよ、お前。
初めて買った時は、近所からのクレームが激しく、時には朝から警察が出動したこともあったが、今では慣れたもんだ。
あの時の警察の呆れた顔は、とても面白かった。

「おつかれー」

カチとストップボタンを押してから、毎朝恒例の倍速ラジオ体操をして制服に着替える。
本日は週の初めの平日、月曜日。
学生は学校に行かなければならないという義務がある。


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