HERO ACA

□S級犯罪者が、ヒーローたちのヒーローになる話
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(相澤side)


体力測定前に集めた生徒たちが教師ではない男と対峙しているのを見て最初は肝が冷えた。


その上腕を引きちぎって拘束から逃れた時は流石に驚いた。


明らかにアレは戦闘慣れしている。


個性は俺の"抹消"で消せるが、そもそもの身体能力が高い場合はなかなか面倒だ。


そうして警戒心をあげていく中、男の口から出たのはオールマイトの本名だった。


半ば頭が混乱している状態で、名を呼ばれた本人のご登場。


オールマイトさんは男を抱きしめ、涙し、そして懐かしそうに会話を始めた。


「(知り合い...のようだな)」


男が自然と口角を上げて笑ったのを見てなぜか胸のあたりが疼いた。


「(...?)」


「授業の邪魔をしてしまってすまないね!相澤くん」


男を横抱きにしながらオールマイトさんは男のちぎれた右腕を拾っていた。


「いえ...俺の方は大丈夫です」


事情も説明しないといけないし、校長室に連れていくよと生徒には聞こえない声量で耳打ちされた。


これは...あとで来いってことか。


オールマイトは確か今日はもう活動限界ギリギリだったはず...


どうせ校長室で尋問したのを録画して、職員会議の議題にするんだろう。


なら俺は尋問の間の監視役ってことだな。


...職員会議が長引くのは合理的じゃないが、オールマイトさんの知り合いだからといって野放しにできそうなやつじゃない。


本人から説明を聞き、校長に判断してもらう。


なによりも妥当で無難な案だ。


「わかりました、よろしくお願いします」


「授業の邪魔しちゃってゴメンね!あ、君たちも!授業中に悪かったね!」


登場するだけで、生徒たちの不安を吹き飛ばしてしまった。


これが平和の象徴、No1ヒーロー"オールマイト"か。


生徒たちもオールマイトの知り合い、いや恩人ということでだいぶ警戒心が薄れたらしい。


オールマイトが横抱きで拘束しているのもあるせいか、先ほどのように男に対して極端に怯える顔は一つもなかった。


そして、男は横抱きに抵抗することもなく、オールマイトさんと校舎の中へ向かっていく。


「なんで右腕引きちぎっちゃったんだい!?拾うのすごく怖かったんだけど!?」


『ああ〜...悪いな、拘束されると面倒だと思って...つい反射的に』


「オーマイガー!!!つい!?反射的に!?君の脳内どうなってるんだい!?」


半ばコントのようなやりとりを見る限り、本当に旧知の仲のようだ。


男がオールマイトさんと懐かしそうな会話をしながら微笑んだのを遠目に見て、不覚にもまた胸のあたりが疼いた。


「(なんだ...?)」









《綺麗、だ...》









「...おい、とりあえず授業始めるぞ。まず今日は君たちに個性把握テストをしてもらう」


ひとまず今は、授業に集中するか。


「「「「「個性把握...テストォ!?」」」」


見込みのないやつは、ここで退場してもらう。









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