JOJO
□もう一人の「空条 承太郎」
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DIOとの決戦のためエジプトへと急ぐジョースター一行は、アヴドゥルと合流した小島で奇妙な人物と出会う。
潜水艦の内部を確認し、浜辺で出発の準備をしている時のことだった。
彼ら以外は誰もいないはずの小島に、突如一人の男が姿を現した。
5人はすぐさまスタンドを出し、臨戦態勢をとったのだが、男はポケットに手を入れたまま何もしようとしなかった。
男は花京院のような細身で、承太郎と同じように長ランに鎖をつけていた。
学生帽を目深にかぶっており、顔は確認できない。
「敵意は、ない。そちらが攻撃しなければ、こちらからは一切攻撃しない」
男は警戒する5人を安心させるように、慎重に言葉を選んで話したが、ここまでの旅で敵との遭遇を重ねた彼らの臨戦態勢を解くのは至難の技だ。
「まずは、話を聞いてほしいんだが・・・やれやれだぜ」
男が発した己の口癖に承太郎が反応した。
「テメェは誰だ、DIOの手下か?」
承太郎が一歩男に近づいた。
「こら承太郎!!!スタンド能力がわからん相手に近づくんじゃあない!!!」
「やかましいぞジジイ!!!・・・おい、名乗ることすらできねぇっていうのか?」
名乗れ、と彼の目が主張していた。
男は学生帽をとり、そして顔をゆっくりとあげた。
美しい、緑の瞳。
決意と覚悟の炎を灯す、力強い眼差し。
これまでの苦労を象徴するような黒い隈。
「俺の名前は"空条 承太郎"。」
「「「「「なっ・・・!?!?!?」」」」」
警戒心を持つ男たちの顔つきが一瞬で驚愕の色へと染まった。
しかし、男は説明せずに自己紹介を続ける。
「スタンドは、」
男の言葉に呼応するように現れたのは、
「スタープラチナ、だ」
かつて"悪霊"と呼び、そして今では最も頼れる己の力となったスタンドと瓜二つのスタンドだった。
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