JOJO
□紡がれた糸
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で、結局犯人が承太郎さんに何か仕掛けるたびに、俺が東方くんにボコられてる。
今週だけでもう4回ラッシュを食らい...毎回同じように俺は承太郎さんのホテルで目を覚ます。
彼と糸で繋がってしまっているせいか、俺がラッシュのように凄まじい攻撃を受けると、それが振動になって伝わってしまっているようだ。
いつも通り承太郎さんの目の前でアテナに"治療"してもらって帰っていたのだが・・・
『ッ...!』
帰宅途中、突然腕から血がブシュっと勢いよく吹き出した。
もうすっかり日は暮れていて、人通りもあまりなかったので俺は慌てて近くの廃屋に駆け込む。
『くそッ...!アテナの"縫合"に限界が...!』
そう、アテナの治療は"傷を治しているわけじゃない"。
あくまでも筋肉繊維や神経をつなぎとめるだけ...つまり、縫合した後は自然治癒で完全にくっつくのを待つのが鉄則だ。
だが、ここ連日の東方くんからのラッシュで糸が切れやすくなっている。
どれだけ繋いでも自然治癒する前に傷が開いてしまう。
ブシュ、っと背中から嫌な音が聞こえる。
それと同時に今まで以上の激痛も感じる。
『イ、ダァッ...!!!』
一番大きな傷が開いたに違いない。
制服では吸い切れなかった血液が、袖口からとめどなく流れ出ている。
俺はあまりの痛みと貧血に、膝から崩れおちた。
手で止血しようとするが、腕が痙攣して抑え切れていない。
『縫わ、ないと...!ぬ、ぬわ、な...いと...!』
意識が朦朧とする中、"アテナ"を呼ぶが、彼女も俺の精神状態に振り回されてうまく縫合できないようだ。
『(このままじゃあ出血多量で...死んでしまう!!!!!)』
ヤバイという単語が頭を埋め尽くす。
『(ヤバイヤバイヤバイヤバイ、ヤ、ばい...俺が、死んだら、承太郎さん、の、織物、も・・・)』
もう"アテナ"も出せずに床に倒れこんだその時、
誰も来ないはずの廃屋の扉が開いた気がした。
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