JOJO
□必ず、帰るよ
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DIOの館へ侵入する直前、ジョースター一行を新たなスタンド使いが襲撃した。
突然、能力不明の敵スタンドが承太郎に急接近してきたのだ。
警戒はしていたものの、不意打ちに対応し損ねた承太郎を夜時はとっさに突き飛ばす。
だが、敵スタンドは勢いよく接近した割に夜時の肩へ軽く手を触れただけで主人の元へと帰って行った。
「ククク...」
門の影から姿を現した敵の嫌な笑い声としたり顔が夜時に嫌な予感を感じさせる。
突き飛ばされた承太郎はすぐに体勢を立て直し、夜時の無事を確認した。
「夜時...!無事か!?」
「特に異常はありません!承太郎、貴方こそ...!?」
「ククク...まずはお一人様ァご案内ィ...」
敵スタンドが小さな声でそう呟いた直後、夜時の視界がブレた。
「ぐ、あッ!?」
立っていられないほどの頭痛、そして耳鳴りが彼を襲う。
「「「「夜時!!!!」」」」
「俺のスタンドはァ、"記憶の彼方へ[トゥメモリー]"...今からお前たちの誰かが存在する過去へコイツを飛ばす...」
「誰かの存在する過去、ッ...!?」
「そうだ...一人ひとぉり...同じ過去に飛ばしてやる...生き残れるか分からない場所へ...古い過去へ...ククク...それがジョセフ・ジョースターの過去なのか、ポルナレフの過去なのか、アブドゥルの過去なのか、この犬の過去なのか...それは俺にもわからない...」
「夜時!!!」
「じょ、じょうたろう...!」
地面に崩れ落ちそうになる夜時を間一髪のところで承太郎が支えた。
「ククク...仲間とはあの世で再会を果たしなぁ...」
そして、敵が指を鳴らすと同時に夜時の身体がどんどん透け始める。
「ッ...夜時!!!生き残れ!!!俺たちが必ず!元の時代に戻してやる!!!絶対だ!!!」
承太郎は透けていく夜時の手を強く握りながらそう夜時に誓った。
「ええっ...!私も、必ず、必ず、ここへ戻ってきます...!だからそれまでどうか、承太郎も...!」
"無事で"
伝え終わるか否かのところで、夜時の体は完全に空気に溶けるようにして、消えた。
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