JOJO

□奇妙な居候の始まり
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「実は仲間と旅をしていたのですが、私だけはぐれてしまったのです」

















そこから夜時は適当に話を作り、ここに自分と同じように仲間が流されてくるかもしれない、もう誰もこないと分かればすぐにでも出て行くので、それまでの間は居候させて欲しいと嘆願した。


「(嘘はいけないことですが、今は異常事態なのです。許してくださいね、皆さん)」


もうしばらく待っていなければ、次に誰かが自分と同じようにここに飛ばされてくるかもしれない。


事実と嘘を交えながら夜時は3人が納得できそうな理由をうまく説明した。


「...分かりました」


「よ、よろしいのですかリサリサ様!?」


「今は少しでも戦力が欲しいところです」


「...戦力?」


リサリサの言葉に夜時が眉を寄せた。


戦力ということはつまり、戦いがこの場にはあるということ。


人外と戦ったなんて、ジョセフの思い出話が夜時の頭をよぎった。


「(まさか人外と戦う戦力として数えられそうになってます?)」


「つ、つまり彼にも波紋の修行を...!?」


「ええ、ただで居候だなんてできないことは彼も理解しているはず」


リサリサの鋭い視線に夜時は動揺を隠しながら頷く。


「...確かに、今一文無しの私が居候の対価として支払えるのはこの身一つだけです。ですが、戦力とはどういうことなのか...ご説明願えますか?」


人外相手でなければいい、と夜時は内心願った。


「貴方に人殺しをしろと言っているわけではありません」


「つまり?」


「私たちは今、人間を滅ぼそうとしている闇の一族からある物を守るために闘っています。ここにいる私たち以外にも2人、弟子がいるのだけれど、貴方にもその戦力として修行をしてほしいのです」


「(だいぶはぐらかされた説明ですが、つまり人外と戦えということなのですね)...スージーQも戦力の一部なのですか?」


「いいえ、あの子はただの女の子よ。ここでの世話を任せているわ」


「...そうですか」


彼は少しホッとしたように微笑んだ。


スタンドの姿にも反映されているように、彼は案外"騎士"のような一面を持っているのだ。


"女性を守ろうとする"一面があるのもその一つ。


おそらくリサリサは戦士...雰囲気や出で立ち、弟子の存在から相当の熟練者だろうと夜時は判断した。


だが、これほど立派な女戦士の前であまり"男は女を守るべきだ"という態度を出してしまうと、それは相手への侮辱になってしまう。


普通の女性以上に、女戦士には気を遣わなければならないのである。


スージーQが己の守るべきただの一般女性だということは、夜時が女戦士よりは少し気を楽にして話せる相手だということだ。


夜時はそこに安心したのある。


しかし、その微笑みはすぐに消え、彼は眉を寄せた。


人外と戦わないといけないという流れは夜時にとってかなりの誤算である。


「闇の一族と戦うとおっしゃったのに、人殺しではないと言う...つまり、その一族は人間ではないと?」


「ええ、その通りよ。比喩でもなければ言葉のあやでもありません。」


リサリサの真剣な視線が夜時を射抜く。


「彼らは古代より蘇った一族...太陽を浴びない限り生き永らえ、そして波紋でしか彼らを倒すことはできない」


「...なるほど?」


「信じがたいのも分かります、ですが」


「ああ、貴方の言葉を疑うわけではありません。少しだけ疑問点があっただけです」


「...疑問点ですか?」


「ええ、ですが今はあまり関係ない話ですので大丈夫です。説明を続けてください」


























リサリサが闇の一族...先日復活した柱の男たちの説明を続ける間、夜時は先ほどの疑問点について考えていた。


それはーーー彼らが"スタンド使い"であるか否かということ。


DIOはかつて石仮面によって吸血鬼になり、その100年後にスタンドを発現させた。


ジョセフやSPW財団の人間にはまだそのことを話していないが、それは一つの"矢"の効果であると夜時個人は知っている。


もし、その矢が石仮面のようにかつての脅威によって作られたものだとしたら、もしかしたら波紋を使ったところで勝ち目はーーーー


「...というわけです。残念ですが、貴方にその"エイジャの赤石"を見せるわけにはいきません」


「大丈夫ですよ、まだ私は貴方から信用してもらえるほどのことをしていないのですから」


「ええ、きっと命がけの戦いになるでしょうが、ここに貴方が来たもの運命なのでしょう」


「運命...」


「貴方が実際に彼らと遭遇した時、恐ろしければ逃げても構いません。私は決して貴方を責めないと約束しましょう」


「..."敵に背を見せるのは騎士にあらず"」


「騎士?」


「ええ、私には騎士の精神が宿っておりまして。彼に誓って、敵を目前に逃げるなど無様な真似はしないと約束しましょう」


「それはーーーー私が言うのもなんですが、その約束は貴方にお願いされた"居候"の枠を超えてしまうのでは?」


死ぬかもしれないのですよ、とリサリサは念を押して彼に言った。


「貴方が言う通り、私がここに来たのが運命だと言うのであれば、ここで命を落とすのもまた運命だったのでしょう」


夜時は優しくリサリサの手を取り、そして跪いた。


「この夜時・五月雨ーーーしばしの間、貴方の騎士となることを誓いましょう」















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