JOJO
□自ら、追い込め
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翌朝、リサリサに"ツボ"をつかれ、夜時の修行は始まった。
だが、ジョセフやシーザーと違い、彼は波紋使いの血縁ではない。
リサリサにツボを突かれ、マスクをつけ、しばらくすると普通の呼吸と波紋の呼吸が入り乱れ、苦しくなってしまう。
いわゆる、彼には波紋の才能が欠けていた。
「...夜時、一度休憩を入れましょう」
「ッ、いえ、リサリサ先生、もう一度だけお願いしますッ...!」
リサリサも彼への指導に関しては非情になりきれなかった。
すでに命がかかったジョセフやシーザーに厳しくすることは彼らの存命のためであり、柱の男を倒すことに直結している。
しかし夜時は違う。
いわば本来であれば、この戦いに巻き込む必要のなかった人間なのである。
「夜時、」
「ッ、ヒュー、ヒュー、コォオオオオ、コォオオオ、ヒュー、ヒュー」
膝をつきながら肩で大きく息をしている彼を見て、リサリサは何ともいたたまれない気持ちになった。
本人のやる気は十分あるというのに、それに見合った素質がない。
しかも、リサリサは夜時の意識が時たま呼吸以外に向いていることに気がついた。
「(彼は...何か別のものに集中している瞬間がある...)」
「オイオイ、そんなんで本当に修行なんてできんのかよォ〜!」
「リサリサ先生、やはり彼への指導は時間の無駄です。明日にでも街に戻しましょう」
リサリサはジョセフとシーザーを咎めなかった。
「コォオオオオ、コォオオオオ、ヒュー、ヒュー...!」
「(ジョセフやシーザーの言葉によって集中が削がれているわけではないようね)...夜時、マスクを外しましょう」
「ッ...ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ!!!」
「ったくよォ〜〜〜、こっちは命がけで修行してんだぜ?」
「おいお前、やる気がないなら今すぐに去れ!」
ジョセフは呆れたように、シーザーは怒りをあらわにして彼を責める。
だが夜時は彼らの言葉には耳を貸さず、ただリサリサの判断を待った。
「リサリサ、先生...」
「少し休みなさい、夜時」
リサリサは夜時を一瞥し、その場を去っていった。
「おい、貴様!!!リサリサ先生のお時間を無駄にするような真似はするな!だいたい素性のしれない男が先生の側にいるというだけでも殴ってやりたくなるぜ!!!」
シーザーもリサリサの後を追うようにその場を去る。
「...」
夜時はシーザーに何も言い返せない。
いや、彼の性格上言い返すつもりはないのだが。
その場に残っていたジョセフが、夜時がシーザーやリサリサの背中をじっと見つめているのに気づき、声をかけた。
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