JOJO

□自ら、追い込め
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「あいつらの背中になんかついてる?」


正しくいうと夜時は彼らの背中を見つめていたわけではない。


彼に"スタンド"がいないかどうか見極めていたのである。


「..ジョセ、ジョースターさん」


「ジョセフでいいって!堅苦しくなんなよォ〜!」


「ジョセフさん」


「ジョ・セ・フ!」


「...ジョセフ」


「おう!」


老年の彼を知っている夜時としては、呼び捨ては抵抗があったが、若年の彼がそれを良しとしないのであれば抵抗など無意味なものであった。


「ん?なんか今首元がヒヤっとするような悪寒が...か、風邪か!?」


実は今、夜時のスタンド夜空の騎士[ナイト・ナイト]がジョセフの首元に剣を当てていたのだが、彼には何も見えていないらしい。


「...(DIOがスタンドに目覚めるまではジョセフさんもスタンド使いではないのですね)」


戦いの前に体調崩すとか笑えねーよ!と騒ぐジョセフを傍目に、夜時はスタンドを下がらせた。


「...マスクをして、波紋の呼吸ができずに苦しくなった時、貴方は何を考えますか」


「あ?あ〜...まず、波紋の呼吸ができねーっていうのがあんまりないってゆーか...」


波紋使いとしての才能の違いを見せつけられ、夜時は地味にショックだった。


「...そうですか」


夜時がマスクをつけた時、上手く波紋の呼吸が維持できないのには理由があった。


才能や素質以上に彼を苦しめるもの...それは、


「素質がない上にスタンド制御の二重苦...ボソッ」


彼のスタンドである。


「え?なんかいった?」


「いいえ、何も」


夜空の騎士[ナイト・ナイト]は自立思考のまじったスタンドであり、夜時の無意識下で行動することがある。


薬を飲みこまないようにしたのはそのおかげだ。


夜時が制御すれば、基本的に自由行動はしないものの、やはり自分の主の危機になるとそれを超えて行動しようとするのだ。


それが問題であった。


マスクをつけられ、呼吸が少しでも乱れ始めると、夜空の騎士[ナイト・ナイト]が主人を救うためにマスクを叩き切ろうとするのだ。


それを制御しようとすると、波紋の呼吸に集中できない。


集中できないと余計に息が乱れ苦しくなり、スタンドの行動力が強くなり、制御しようとするとさらに波紋の呼吸に集中できない...


いわゆる最悪の悪循環であった。


「ハァ...」


リサリサにこのことを相談すべきかとおもったが、そもそもスタンドの説明をするつもりが夜時にはない。


だが正当な理由もなく、マスクなしの修行をリサリサは認めない。


すまない、と頭を下げるナイト・ナイトに、気にしないでください、と心の中で返事をした。


「ジョセフ、マスクなしでも波紋の呼吸の持続力を修行できるような方法はありませんか?」


「ん?えー、そうだな...あ!ちょうどいいところがあるぜ!」


「いいところ?」


「ああ!俺も最初にやった修行場所なんだけどよ!教えてやるよ!」


ジョセフに手を引かれ、夜時が連れて行かれた場所、それはーーーーーーーーーー





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