名探偵

□あの子は、あの頃、"視えていた"
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子供部屋とは言い難い、物置部屋のような中に子供が1人いた。


彼の名は降谷 雅治。


もう9つになるが、小学校に上がる少し前から育児放棄を受けており、今ではろくに通わせてもらっていない。


教師にはどんなうまい言い訳をしているんだろうと、


雅治は扉近くに置かれているコンビニ袋をあさりながら思った。


中には菓子パンやらコンビニのおにぎり、そして大きな水のペットボトルが詰め込まれていた。


ペットボトルに押しつぶされて中身の出てしまっているおにぎりを見て、雅治は小さくため息をついた。


























そうしているとガチャガチャと目の前のドアノブから不自然な音がなった。


「にーちゃ...?」


『...零!』


扉を開けてやると、そこにいたのは自身の最愛の弟だった。


無邪気で、


可愛くて、


何よりも大切にしたいと思っている弟。


その可愛らしい弟は今年で3歳になる。


鍵を片手にニッカリ笑う零をみて、雅治も優しく微笑んだ。


『父さんと母さんはでかけたのか?』


「うん!おそらがあかくなるまで、おかいもの、いくって!」


『そっか。それにしても、よく鍵取れたな?』


「にいちゃに、あいたくて!がんばってとったんだ!」


『ふふ、そっか。会いにきてくれてありがとうな、零』


"とある理由"により、親類はおろか両親からも距離をおかれている雅治は、


ただ唯一、自身の弟とだけは心を通じ合わせていた。


その弟はーーーーーーーーーー






























「にいちゃ、きょうもなにかみせて!」


『そうだなぁ...オーシャンズ』


雅治と零の目の前に突如水たまりができる。


『ハイエロファント・グリーンになれ』


そう声をかけるとザバッと水たまりから飛び出るようにして美しい緑の"なにか"が出てきた。


"それ"を見た零はキャッキャと嬉しそうに声を上げる。


「わぁ!すごい…!メロンみたいでおいしそう!」


『メ、メロン…あ!泣くな、ハイエロファント…!』



























降谷 雅治は、"スタンド使い"であった。


そして、降谷 零は、雅治が持つスタンドを"視る"ことができた。






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