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□優秀な部下
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優秀な部下


ゆらゆら
ゆらゆら
揺れている
意識が
体が


「うっ…」


うっすらと目を開けると、すぐ近くに青いモッズコートが見えた


「気がついたか?」


そう問う声も近い
すぐさま状況を把握したいのに、頭も体も上手く動いてくれない
のろのろと顔を上げると、よく見知った顔が間近にあった


「ソーマ…か…?」


どうやら俺は、ソーマに運ばれているらしい
所謂姫抱きとやらで


「…降ろせ」
「歩けるのか?」
「………」


無理かもしれない
実際指一本動かすのも辛い
喋るのだって、億劫だ


「また無茶をしやがって」


無茶…か
無茶…なのか?


「ウロヴォロスを…一人で倒そうとした…だけだぞ?」


リンドウだってやっていた
ウロヴォロス一体くらいだったら、無理ではない筈だ
…今回は途中でサリエルが乱入してきたが


「お前は…」


思い切り溜め息を吐かれた


「何故俺を呼ばない?」


叱るような口調
咎めるような
なのに縋るような響き


「最初から俺も連れて行けば、今回のようなことにはならなかっただろ」


リンクエイドしてくれる奴が居たら、確かになかっただろうな
アナグラに戻る一歩手前で、ヴェノムの所為で力尽きるようなことは、なかった筈だ


「ソーマが…通りかかって…よかったな」


そう笑えば、不機嫌そうな舌打ちが聞こえた
そこで、俺は異変に気付く


「…俺の部屋に行くんじゃ…なかったのか?」


今目の前にある扉は、ソーマの部屋へと通じる扉
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