子供

□9まま…
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9まま…


七騎士の間
既に通い慣れた筈のそこ
少し前までは、腐敗していた場所
今ならば、分かる
あの腐敗の意味を


「………」


扉を開けると、紙の山が目に入った
そこに居るであろう人物は、予想がつく


「書類処理ならば、執務室でと言いました」


執務室ならば、必要な書類が揃っている
なにより、この書類の束を持ち歩く必要がない


「非効率的です」


なのに、彼はそうしない
七騎士の間や、自室に持ち込む


「…ジグ?」


今更ながら、返事がないことに気付く
気配はある
しかし、反応はない


「あら…」


不審に思い、回り込む
そこには、机に突っ伏して眠るジグの姿


「書類は…終わっていますね」


書類に目を向ければ、既に終わっていることが確認できた
慣れないデスクワーク
私のようにはいかないまでも、前七騎士よりははるかに上達していると思う


「…お疲れ様です」


そう呟き、書類と共に立ち去ろうとした、その時


「まま…?」


ぼんやりとした瞳が、私を捉える
固まる私を


「ん…」


再び眠りにつくジグ
未だに金縛りにあったように、動けないでいる私


「…母親…ですか」


そのような年ではありませんが…
あなたの母親なら
考えてもいいかもしれません
そう微かに笑った

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