gift

□どちらかといえば、女王様
1ページ/1ページ

どちらかといえば、女王様


一般ランカーがジグさんを見上げる
羨望の眼差しで
ジグさんが口を開く


「俺を倒す為に強くなれ」


堂々とした態度
揺るぎない口調
ラストランカーが送る言葉は一言で十分
バザルタ本部に集まった人々は個々に思いを抱く

感動
闘志
羨望
畏怖

様々な思い


「私よりも王家生まれって感じがします」


奥へと下がったジグさんに呟く
ジグさんは私をチラリと見る


「お前を真似てみたらこうなった」
「私はあんなこと言いませんよ」


拗ねたように言うとジグさんは少し黙ってしまう
私にはあんなこと言えない
私はまだまだ弱いと知っているから
私は仲間が居ないと戦えないから


「…言葉じゃない」


あの沈黙は思考する為だったらしい


「振る舞いとか…態度だ」
「振る舞いと態度ですか?」


無表情
でも考えているのは分かる
私だって少しずつだけどジグさんの表情の変化が分かるようになってきた


「お前はいつも堂々としている」
「後ろめたいことはしないようにしていますから」


後悔はしたくない
そう思っていても後悔ばかり
それでも許してくれる


「そして毅然としている」
「毅然と…」


そんなつもりはない
けれどジグさんにはそう見える


「女王そのものだ」


私はちゃんと女王でいられている
少なくともジグさんにとっては
少しだけ嬉しい
だってジグさんにとって私は女王様
私は特別
普通の女の子として埋没しない


「あぁ、だからですか」


嬉しいけど少しだけ意地悪をする


「ジグさんは王というよりは女王様ですよね」
「…どういう意味だ」


ジグさんの口角がほんの少し上がる


だっていいじゃないですか
私とお揃いでも

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ