ラスラン

□夢想
1ページ/1ページ

夢想


ずっと、親友だと思っていた
ずっと、親友でいたいと願っているはずだった


「兄さんったら、またジグのこと考えているの?」
「まぁ…な」


皮肉にも、離れて初めて、あいつの大きさに気付いた
今までは、いつも一緒に居ることが、当たり前だったのにな
今はこんなにも恋しい


「兄さんは、ジグにまた会えたらどうするの?」
「そうだな…」


これはもしもの話
帰らないとは言っていたが、修練で近くを通る可能性はある
その時バッタリ…
さすがに都合よすぎかもしれないが、願わずにはいられない


「また会えたら…」


そう考えずにはいられない
もう二度と会えないなんて考えるつもりは、毛頭ないからな


「………」
「思い付かないの?」
「いや」


考え込んでいた俺に、ミシーが首を傾げる


「言いたいことが沢山ありすぎて、どれから言っていいか分からない」


会いたかった
寂しかった
元気にやっていたか
ガンドアではどうなのか
そして
いつまでも親友だよな?


「私は、抱き締めたいな」


ミシーが駆けて行って、ジグに抱きつくところを想像してみる
きっとあいつは、驚いた後に困ったような顔をするに違いない
そして、いつものように、口元を緩ませるんだ


「そうだな。それがいい」


当たり前だった幸せ
ずっと続くと思っていた日常
ひと時でも、味わえるなら


「たまには、俺も抱き締めてやるかな」


そうしたら、きっと顔を赤くして、慌てるだろう
慌てて、抜け出そうともがいて、でもできなくて諦める
笑ってくれるといい
微かに笑いながら、俺の名前を呼んでくれたのならば、俺は満足だ


「また会えるよな、ジグ」


二人は夢想する

俺達を嘲笑う、青い悪魔が現れると知らずに

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ