ロイエド


□エドワード奮闘記
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ある日の昼下がり。


東方司令部に元気な子供の声が響いた。


「ロイー、報告書取りに来たんだけど…って、いないのか。」



「あら、エドワード君、こんにちは。」


「こんちは、ホークアイ中尉。大佐は?」


もうすっかり馴染みになったホークアイに、挨拶とともにロイの居場所を聞く。


呼び方が違うのは、
前者は指令室、後者は作戦室だからだ。


つまり、
ロイ1人か、そうでないか、だ。



「大佐は、先程から遅い昼食を取るために外出なさっているわ。」


「どこか、行き着けの店とかあんの?」


「そうねぇ、司令部を出て右に行くと、少し小さめのレストランがあるわ。其処に行ったのではないかしら。」


「そっか、ありがと。」


ホークアイにお礼を言い、司令部の外へ向かう。


まずはその店に行ってみる事にした。








「…はい、先程司令部を出るのを確認しました……はい………伝えました……では失礼します…」



ガチャ



「ごめんなさいね、エドワード君。」


ホークアイは、すまなそうにそう呟いた。








ホークアイに言われた通りに行くと、レストランを発見。


カラン、カラン
と来客を告げるベルを鳴らしながら入ると、直ぐに店員がやって来た。


「お一人様でいらっしゃいますか?」


店員にそう尋ねられ、エドワードは返答に困る。


だが、あの大佐だ。


顔は広いはずである。


エドワードは素直に聞いてみる事にした。


「…東方司令部のロイ・マスタング大佐って此処に来た?」


「はい、いらっしゃいました。ですが…先程お帰りになられましたよ。」


少なくとも、司令部に帰ったのでは無いことは分かる。


司令部からこのレストランまでは、広い道が1本通っているだけだからだ。


もしロイが司令部へ帰ったならば、エドワードとすれ違うはずである。


「どこかに行くとか言ってなかった?」


「…あ、そう言えば花屋に行くとおっしゃっていました。」


「ありがと。」


店員にお礼を言い、店を出る。


次は花屋である。







花屋に行ったエドワードは、全く同じ質問をし、全く同じ返答をされた。


つまり、さっきは居たがもういない。


唯一違うのは、次の行き先である。


次の行き先は、紳士服店。



 
 
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