ロイエド
□飛べない鳥は堕ちてゆく。
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飛べない鳥は何処へゆく?
翼があるのに飛べない俺は、一生地上に留まって。
決して届かない空ばかり見つめてた。
其処はビルの屋上だった。
空に一番近い場所。
けれど、決して届きはしない。
其処で俺は、俺を置いていった奴等を見た。
俺だけが行けなかった世界を、彼等は飛んでゆく。
段々と小さくなる姿を、ただ見ていることしか出来なかった。
なんて、不条理な世界だろう?
「…また、来たのかい?」
不意に聞こえた声に、しかし俺は振り返る事はなかった。
今の顔は、この男には見られたくない。
そうして黙っていると、男が近づいてくる気配。
仲間は、もう見えなかった。
ゆっくりと、しかし力強く、男の腕が俺に回る。
「…もう、人になってしまいなさい。エドワード」
俺の耳元で囁かれる言葉は、俺が最も欲しかったモノ。
仲間の見えなくなった空を一瞬だけ見て、俺は。
「……そう、だな」
翼をたたんだ。
Fin...
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