ロイエド


□knock-knock
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「こんちはー」



ノックの一つもなく開けられた扉。

その音に釣られて顔を上げると、そこには愛しい彼とその弟。

思わず緩みそうになる頬をなんとかとどめると、まずは一言。





「全く、ノックぐらいしてから入りなさい」



「今度から気をつけまーす」








きっと次回も扉が叩かれることはないのだろうな、と頭の片隅で思う。

けれどいいのだ、彼と自分の間はこれで。






「もう兄さん、毎度毎度同じ事しないでよ。弟として恥ずかしい」






兄よりも常識的な弟が、その行為をとがめても。







「まーいいじゃんか、大佐だし。それに、大佐なら大丈夫だろ」







全く聞く耳持たずの兄。









このままでは常識人の弟が本気で怒り出してしまいそうだったので、そろそろ助け舟を出してやろうと顔に苦笑を貼り付けた。



「まあまあアルフォンス、私も別に気にしていないから構わないよ。いつものことだしね」










いつも、という建前に、貼り付けた苦笑。









そうでもしていないと、危険なのだ。














「な、大佐もいいっていってるし。俺と大佐の仲なんだから。」


















危険なんだ、顔が緩んでしまいそうで。

















大佐なら、大丈夫。


これは紛れもなく信頼の証で。









俺と大佐の仲なんだから。






これはまるで…。














自覚しているのかどうかは知らないが。




彼の言葉の端々から十分すぎるほどに伝わってくる、大切なもの。



そのことを知っているから、これでいい。









「な、大佐」










そう言ってニカっと笑う彼に、今度は本当の苦笑を返しながら。
















これからも、このままで。










knock-knock

















End




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