アルエド
□らいん
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「俺達、たった二人の兄弟だもんな」
そうやって線引きをしたのは、兄さんの方。
僕は今でも、その線を越えられない。
確固たる『兄弟』という線。
それ以上でも以下でも無く。
前にも後ろにも進めない関係。
あぁ、もどかしい。
僕は何度もその線を越えようとしてきた。
けれど、どうしても無理で。
僕の足元、爪先のすぐ先にあるソレ。
たった一歩前に出るだけで、簡単に越えられる筈なのに。
越えてしまったら、何かが変わってしまう気がした。
だから、恐ろしくて。
でも。
「アル、」
呼ばれた名前には、きっと沢山の思いが込もってる。
始めに線を越えてやって来てくれたのは、兄さんの方だった。
自分で引いた線を、自ら乗り越えて。
だから僕も。
「兄さん。」
ごめん、も。
ありがとう、も。
全てを込めて。
それから…
それから。
「……これからも、僕の側に」
居てくれますか?
Fin...
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