TOX2

□21.願いのために
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「パパ、何してるの・・・?」


ヴィクトルの連撃にルドガーが体制を崩し地面に倒れ、顔のすぐ横に剣を突き立てられたところで目を覚ましたエルが不安そうにして近寄ってきていた


「エル、パパたちは今大事な話をしているんだ。ルウィナと一緒に家の中で待っていなさい」

「でも・・・」

「ルウィナ、エルを」

「・・・分かった」


エルの後について来ていたルウィナが頷いてエルの額に手を当てる触れたところから小さな光が零れ落ちたと同時に倒れそうになるエルの身体を抱き留めて家の中へと戻っていく

ヴィクトルが離れたところでジュードの手を借りて起き上がっていたルドガーがヴィクトルを睨む


「君はまだ幸せだ。彼女をまだ守っていられるのだからな」

「なぜルウィナを知っている」

「私は君だからな。私のルウィナはビズリーにクルスニクの鍵として利用され、死んだ」

「この世界ではルウィナがクルスニクの鍵だったのか・・・」

「そう、ミラの言う通りだ。この先は話してやるつもりは無い・・・そろそろ再開しようか」


外殻を発動させてルドガーに切りかかる
バランスを崩したルドガーを庇うようにミラやジュード、ローエンが援護に入るがヴィクトルに傷一つ入ることが無いまま距離を取った

ヴィクトル、最強を意味する称号
その名をビズリーから受け継いだ経緯はヴィクトルが語った通り
エルを失い、道標を5つ集めたにも関わらずカナンの地が出現しなかったこの世界


「くっ!」

「流石お強いですね」

「どうしたルドガー。そんな用じゃ審判を越えることなど出来はしないぞ。このままお前ごとこの世界を壊し、私がエルとルウィナを守ってやろうか?」

「させっ!るか!俺はエルもルウィナも!守ってみせる!!」


膝をついていたルドガーがヴィクトルの言葉に立ち上がり、反撃を仕掛けていく
徐々にヴィクトルが押されてきて
ジュードたちの援護もありヴィクトルがバランスを崩しトドメを刺そうとルドガーの武器がヴィクトルに迫る


「ルウィナあぶないっ!!」

「「ルウィナ!?」」

「ルウィナさん!」


家の中で寝ているはずのエルの声が聞こえ、一瞬ルドガーの視線が対峙しているヴィクトルから外れ、家の方を向く
その視線の先には涙を流しながらこちらへ走ってくるエルの姿
エルの姿を視界に入れた少し後に自分の手に何かの感触が伝わった


「なんで、ルウィナが・・・」

「駄目だよルドガー、エルのパパを、自分を、ルドガーを殺しちゃうなんて・・・」

「ジュード!ルウィナに治癒術かけてくれ!」

「ルウィナ、良いんだな」


ルドガーの言葉で我に返ったジュードがルウィナに手をかざし、治癒術をかける
メンバーが見守る中、この光景を見せない様にエルを抱きしめていたヴィクトルがこの場にそぐわぬ声色でルウィナに問いかけた

そしてそれに対するルウィナの答えは


「いいよ」





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