TOX2

□30.そしてこれからのこと
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ルドガー達もギリギリだったらしい
身体のあちこちに傷が出来き血が流れ、服も汚れている
ルウィナはルドガー達の方へ歩いていき精霊術で傷を治した


「・・・ありがとう、ルウィナ」

「私の傷まで治すとはな」

『逃げるのは良くありませんから。ルドガー、エルちゃんを』

「ああ、良かった・・・」


気持ちよさそうな寝顔にホッと安心して張っていた気が抜ける
エルの頬に掛かった髪をよけて額へ触れると瞼が震え、少し眠たげに眼を覚ました


「ルウィナ?」

『よく頑張ったね、エルちゃん。ルドガーと一緒にあれに触れて?』


そう言って指差す先にあるのは数字の刻まれた審判の門
エルちゃんの願いは聞いている
ルドガーの願いは分からない
けれど私は何も言う事は出来ない
もう我がままを聞いてもらっているから


「うん!ルドガーはやく!」

「ああ!」


エルに手を引かれて歩いていくルドガーを微笑みながら見送る
2人が同時に門へ触れると光と共にオリジンが現れた


「君たちにおめでとうを言う前に・・・君たちはこちら側だろう?こっちにおいでよ」

「ああ」

『はい、』


君たちに含まれたクロノスとルウィナ、ルナはそれぞれオリジンの両隣へ立ちルドガー達と向い合せになる
すれ違った時と今、ルドガーから視線を感じてはいるが今は自分の事よりも願いが先だ


「それで、君たちの願いはなんだい?」

「分史世界の消滅、だったんだけど」


正史世界と分史世界の関係をクロノスが訂正してからは自分の目的は意味が無くなった


「ルドガー、エルがおねがい決めてもいーい?」

「なにかあるのか?」

「分史世界がこれ以上ふえませんよーに!」

「あ、その手があったな」


ルウィナへにこーっと笑いそう言ったエル
ルウィナが生まれてから分史世界は正史世界とは切り離された魂エネルギーを持つようになった
けれどそうは言っても分史世界が増え続ける限りオリジンに掛かる瘴気の浄化の負担量は増え続けてしまう
ならばこれ以上増えなければいい


「分かったよ。なら正史・分史すべての世界から骸殻の力を取り去ろう。今存在している分史世界の魂の循環については」

『私が行います。分史世界で生まれた瘴気の一部はマナへ』

「新しく生まれた精霊としての君への贈り物だね」

「この世界の循環については我も行う。少しはマナの余裕も出来るだろう」

「ならば私はルウィナを手伝おうか」


ミラの申し出をゆっくりと首を横へ振り、やんわりと断ったルウィナはミラの隣に立つジュードへ視線を向けて微笑む


『分史世界の存続の為には私一人で行う方がいいの。それに源黒匣が普及すれば私も普通に人間界へ行くことができるようになるから』

「ルウィナにまたあえるよーになるにはジュードに頑張ってもらわないとだもんね!だいじょーぶだよ、リドウも手伝ってくれるっていってたし!」

「リドウも!?」

「ふむ、言われてみればリドウは医療チームのトップエージェントでもありわが社の中では一番理解が深いだろう。実際、私が把握していた奴の黒匣の制御コードは効かず新たなものに変えられていたからな」


ばらばらに目的を持って進んでいては開けなかった道は手を合わせれば案外簡単に切り開けたりする
今まで一族の無念を晴らすために自らも道具として進んできたビズリーも思う所はあるだろうが、ルドガーにハンデを態々与えたのは別の道を進む考えもあったからなのだろうから


大切な人達を失わずに済んだとほっとしたのか前へと倒れ込んだルウィナを支えたのは、もちろん





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