小説
□無題詰め合わせ
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癒しになるからって
お香を買ってみた
火をつける
線香と変わらない
なんて思いながら
匂いも何だか線香みたいで
素直に桜の匂いとか
無難なやつ
そういうのに
しとけば良かったかな
どんどん燃えて灰になっていく
ぽろぽろと崩れて
ゆらゆらと煙になって
やがて消える
でもね
最後までは燃えなかった
小さく小さくなって
火だけが消えて
かけらが残った
全部を燃やしたくて
全部を消してしまいたくて
何度も火をつけた
無意味だったけれど
灰は意外と滑らかで
それに少し救われた
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