どうしてこうなった。

□続プロローグ ー4年生編ー
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「学級と名前を聞かせて貰おう」

「何でだよ」

「碧先輩からの指示でな。後日、七松先輩に謝罪させる為だそうだ」

「無駄にしっかりしてるな碧先輩とやら。
 謝罪なんざどうでもいい。暴君とか問題児に関わりたくねぇから言わねぇ」

「…判った。碧先輩には七松先輩の謝罪は不要だと伝えよう。
 だが、学級と名前は言って貰うぞ」

「何でだよ」

「念の為だ。
 碧先輩は律義だからな。七松先輩の代弁として謝罪に行かれるかもしれない」

「ほんと無駄にしっかりしてるな碧先輩。
 んでもって、平しつこい」

「何とでも言え。
 お前がどこの誰か、聞かれてから調べるのでは遅いのだ。直ぐに答えられなければ、後輩としての面子が立たん。
 いやがおうでも言わせるぞ」



言わない限り、腕を解放しない気らしい。
ぎり、と拘束する手に力が加わる。

ほんと、しつこいなこいつ。

って言うか後輩の面子って何だよ。と内心ツッコミを入れつつ、大きくため息を吐いた。



「……1年3組、本庄透だ」



要求された情報を告げた。

のだが、何故か腕が解放されない。
掴む力は弱まったけど、掴んだままだ。

何なんだ。

不審に思って平を見ると。
凄い驚いた顔をして固まっていた。
何だこいつ。大丈夫か?



「……透太郎…」

「は?」



とう…何だって?

何か呟いていたけど、聞き取れなかった。
聞き返したら、平は何でもないと言ってやっと腕を離した。
…何でもないって言うわりには、やけに人の顔じろじろと見てんだけど。
平の行動は意味判らんが、これ以上ここに居てもしょうがない。

考え込んでる平を放置して、あたしは教室に帰った。
いまだひしひしと感じる予感に、不安を覚えながら。










翌日。
あたしは朝っぱらからため息を吐く事になった。

目の前に、土の壁。
顔を上げれば…自分の頭より少し上に、さっきまで立っていた地面。
頭上に広がるのは、だんだんと色が怪しくなっていく曇り空。

つまるところ、あれだ。
認めたくないが、落とし穴に落ちた。
教室に向かって校舎裏の花壇沿いを歩いてたら、まんまと嵌められた。

……おかしい。
嫌な予感が近付くから、何かあるのかと道を逸れたはずなんだけど。
何で落ちてるんだ、あたし。





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