どうしてこうなった。

□続プロローグ ー4年生編ー
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ー4年生編ー




話は、数日前に遡る。



図書館で楽しみにしてた新作を借りて、うきうきと歩いてたあたしは、急に嫌な予感に襲われて。
勘に従って、左に飛び退いた。

ビュン、と横を過ぎる何か。

数メートル先の壁に盛大な音を立ててぶち当たって跳ね返ったそれが、テンテン…とあたしのとこまで転がってくる。



「え…」



バレーボール…?

え。バレーボールって、あんな速度で飛ぶもんだっけ?
当たった壁、凹んでるし…
さっきのあれ、当たってたら絶対無事じゃなかったよな…

もしもの未来を想像して顔を引き攣らせてると、バタバタと背後から誰かが駆けて来た。



「そこの女子、無事か!?」

「無事だ。が、一発殴らせろ」

「なっ!何故だ!?」

「何故だ?ふざけんな。あの威力のボールをほいほい打ってんじゃねぇ。誰かに当たったらどうすんだコラ」



近寄ってきたそいつ―――何か見覚えがある男子生徒の胸倉を掴み上げて、拳を握る。
殴る気満々のあたしを見て、慌てたそいつは両手を顔の前で振りながら必死に否定した。



「わ、私ではない!私はボールを取りに来ただけで、あれは七松先輩が…!」

「七松……あの暴君って噂の先輩か」



さっきのは噂の暴君のせいで、こいつのせいじゃないらしい。
確か、その暴君は人の話を全く聞かないって聞いたな。…つまり、止めても注意しても無駄って事か。

拳を下ろし、掴んでた手を離して解放してやると、男子生徒はホッと胸を撫で下ろした。



「じゃあ何でお前が、」

「お前ではない!私は文武両道、学年トップの成績を誇る、高等部1年1組の平滝夜叉丸だ!」

「…何で平がボール回収しに来るんだ?」



普通、原因の暴君が取りに来るもんだろ?

言ったら、平は苦笑した。
いわく、碧先輩や厚着先生やらに小言と説教をされてるとか。
…毎度の事らしく、「理解してくださらないんだがな」と渇いた笑い付きで言われる。
何やら苦労してるらしい平に、言及するのを止めておいた。

暴君の事よりも、借りたばかりの本が気になる。早く読みたい。
それに、まだ嫌な予感がしてる。
ここは早々に退去した方が良さそうだ。



「そうか、大変そうだな。頑張れ。
 あたしは帰る」

「待ちたまえ」



帰ろうとしたら、腕を掴まれて止められた。
何でだ。







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