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□風邪日和
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なまえがスプーンですくったお粥に息を吹きかけて冷ましている
そして溢れた時のために手を添えながら俺の口に運んだ
「はい…あーん」
「…あつ…っ!」
まだ熱を持ったお粥は思ったよりも熱くて、舌がヒリヒリ痛い
舌を火傷した俺を見てなまえがスプーンを置いて申し訳なさそうに謝った
「ご、ごめんなさい!
まだ熱かったですかっ!?」
「…大丈夫だから」
「すぐにお水…っん!」
気が付くと俺は彼女の口を自分の口で塞いでいた
舌を絡めてみても火傷で麻痺しているのか、よくわからない
「…治療完了っと
ほら、これでもう大丈夫だよ
だから謝らないで?」
「…っ…はい!」
頬を赤く染めたなまえが笑う
それだけで嬉しくなる自分がいた
「あの…臨也さん
お誕生おめでとうございますっ」
「え?覚えてたの?」
「はい、今日はお誕生のお祝いをするために来たんですよ?」
「…っ……ありがと…」
まさか覚えてくれていたなんて
君が今日来たのも何かの偶然だと思ってた
誕生日に風邪をひくなんて最悪の日だと思ってた
…まぁ、たまにはこんな誕生日も悪くない
END