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□台本練習
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「幽なに読んでるの?」

「次のドラマの台本」


幽が無表情のまま台本から視線だけをこちらに移す


「へぇ、幽またドラマやるんだ!
人気俳優だもんね」

「……ちょっと頼みがあるんだけど」


何かを思いついたように幽がなまえを見つめた


「相手役、お願いしていいかな」

「私でいいの?」

「うん」


静かに頷くと幽が台本を手に肩を寄せてきた

密着することで緊張している上に、顔が近いので集中出来そうもない


「―……じょ…ぶ?」

「…へ?」

「大丈夫?
ぼーっとしてたけど…」


幽の顔が眼前にあり、心配そうに覗き込んでいる


「……!!だ、大丈夫!」

「ならいいけど…
どこから練習する?
なまえの好きなとこからでいいよ」

「えっ、え…と…
じゃ、ここから!」


焦ったなまえは適当なページを開いて指差す

すると幽は一瞬だけ驚いた顔になり、確かめるように聞いてきた


「ここで…いいの?」

「え?う、うん」

「…そう」


視線を逸らした幽の頬が少し赤い

再びこちらを向いた幽が台本に書かれた台詞を指差しながら口を開いた


「じゃあ、始めよう」
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