長編

□01
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休日の昼過ぎ。部活も休みで特にすることもなく適当に手元にあった図鑑を読んでいた。隣の部屋から友香里の声とその友達の声がする。よくある休日の1ページ




ヴーヴーヴー。


携帯が振動しながら俺に電話を知らせる。ディスプレイをみれば親友の謙也の名前がある。アイツから電話なんて珍しいこともあるんやなぁ、なんて笑いながら電話に出た


「もしもし。お前から電話なんて―」

《俺ん所の病院にすぐ来てくれ!すぐにや!!》


急に早口で言われた。あまりにも普通じゃない事態に俺は動揺した。まぁそれが普通の反応なんだろう


「えっと…謙也?どないしたん?」


《名前が…名前が…!》



謙也の口からは俺の彼女の名前の名前が出てきた。俺はおとなしく謙也が喋るのを待つ。その間心臓がドクドクと自分で分かるくらいなっていた



《信号無視した車にはねられて…》


「……はぁ!?名前が!?怪我はっ!?意識は大丈夫なん!?」


《…一応大丈夫なんやけど…とにかくこっち来てや》


そう言い残しブツリと電話が切れてしまった。ありえへん…名前が事故?胸の中に色々な感情が渦巻く中、俺は病院に駆け出した。



早く名前に会いたい







病院の入り口に謙也が立っとった。そっから謙也に名前の病室に案内してもらった。見た限りでは集中治療室とかではなく一般の部屋なので安心した


「この部屋の中に…名前がおる。俺は…ここにおるわ」


謙也なりに気を効かせてくれているのだろう。それに感謝しつつ部屋のドアを開けた



ガチャ…



そこには窓辺のベッドにたたずむ小柄な少女の横顔。清潔感のある白い部屋に白い服に白い肌…そして白い包帯。この包帯が名前が事故に遭った事を象徴していていたたまれない。


風で黒く長い髪がフワリと舞う。その隙間から覗いた目はこちらを見ずにただただ足元の一点を見ているなっている



「名前…」


その声で少女はゆっくりとこちらに顔を向ける。見たところ外傷はそないにない。良かった…


けど名前は何も言わずにただ俺の顔をジッと見ている。



「名前…?」




俺の日常…





『貴方は……』







いや、俺たちの日常は








「……え?」








この日を境に崩れ去った








『誰ですか?』




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