長編

□05
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「…ふぅ」


ベットにダイブし枕に顔を埋める。同時に頭ん中で色々な事がグルグル回る


(病気なんです。)


(手の施しようがないって言われちゃって)



「もう長くない…か」


つい呟く


信じられへんっちゅうか認めたくないっちゅうか…



「そういや…今日初めて会ったんやな」



何でこんなに気にしとんやろ俺…。いや、確かに死と言う単語が関係したら誰だって気にするやろう。誰だって死んで良い奴なんかは居らへんからな。


やけど名前は…名前だけは絶対に死なせたないんや。



誰よりも。




もしかしたら俺の命より大切かもしれん



「恋…」




さっきからその2文字が頭をよぎる。


いや…そんなわけないやないか。俺が恋愛?ありえへん。恋愛なんて…無駄なもんや


じゃあこれは何や?


名前と居ったら楽しい


名前と居ったら安心する



名前と居ったら…心が温かくなる



今日会ったばっかなのに?



「はぁ…ホンマ分からんわ…」


あ、そういえば…今日電話番号交換したんやった。電話…かけてみようかな…


時計を見ると22時と表示されている。…まだ寝とるっちゅうことはないと思うし…



聞きたいこと、めっちゃあるから。




プル―ガチャ



予想以上に早よ電話に出たのでちょっとビックリした



「あ…もしもし?名前?」


《……電話、かけてくださったんですね》



あれ?なんかちょっと…


「お、おん。それよりどうしたん?…なんか…その…」


しばらくの沈黙の後に名前が口を開いた



《……今、病院に居るんです》





ざわっ





嫌な予感がした



「検診?…入院?」



まず、こんな時間に検診なんてせんやろう。そんなん俺でも解る



やけど…認めたくなかったから、あえて尋ねる。



《入院…です》



「そ、そんなに…悪いん?」


自分でも声が震えているのが解った



《………》



なぁ、何か…何か言ってくれよ



《私…実は……》



「実は…?」



いい報告であることを心の中で祈る



《きょ…ぅ…っげほっげほっ!!》



名前が激しい咳をする



「名前!?名前大丈夫か!!」



《しらい…しさっ…っげほっげほっ》



「名前!名前っ!!」



それから携帯はガシャンと音がして切れてしまった


ブツッ…ツーツーツー



名前っ!



俺は携帯を放り出して走り出した




俺が病院に行っても治せるわけやない



医者でもないんやし




けど…名前が苦しんどるんやったら傍に居て支えたい




それだけでも出来る事があると思うから



…この辺で入院出来るぐらい大きな病院つったら2つだけや





「どっちや!」





走り出す



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