『繋ぐ扉』

□スタート地点
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「…出だしやります。全員で!」
「「「はいっ!!!」」」



――あの夢から早2ヶ月。



「金管もっと鳴らして!」
「「はいっ!!」」


昨日あった夏のコンクールは
残念ながら支部大会へのチケットを取り逃してしまった。


「木管もっと響かせて!」
「「はいっ!!」」


3年の先輩達にとって中学校最後のコンクールは
県大会で銅賞という結果に終わった。


「パーカスは管楽器の音に合わせないで!」
「「はいっ!!」」

「…じゃあ、今言ったことを踏まえて最初から全員で!」
「「「はいっ!!!」」」

本来今日は休みだったはずなのだが、今日だけ変更で1日練習練習に替わっていた。
先輩達が顧問の先生にお願いしたらしい。

「…では、今日はこの辺で終わりにします。
 明日から1週間休みになりますが、『遊びすぎて体調崩しましたー』っていうのはやめてくださいねー。
 あと、まだ宿題が残ってる人は、この休みの間にさっさと終わらせなさいよー?」


おどけた口調で放たれた2つのことに、部員は全員苦笑い。


続いて、『間が悪い部長』と以前笑われていた大野先輩が口を開く。


「えー、何か用のあ「あーごめん言い忘れてた!」

「………。」
「「「くすくす...」」」


先生の突然の声に戸惑う先輩と、またまたベタな展開過ぎて受けてるその他部員。

「あ、話してる途中にごめんね大野。
 えっと、20日は通常通り9時からなので。みんな、早く来過ぎないようにね。」

「「「はいっ!」」」


………。

「……?」

「大野、さっきの続きしていいんだよ?」

「あっハイ…何か用のある人はいますか?」

「「「……。くすくすくす...」」」

「う…じゃあ終わります。気をつけ、礼!」

「「「ありがとうございました!!!」」」
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