『水飛沫を上げて』

□ある晴れた夏の日
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「ねっ、行こうよ〜!!」
「えー、やだ。」
「何でよ!?」
「だって、私……」



ミーン ミンミンミンミーン…


―――

――――――――――――――――――

「ほ〜着いたねぇ!!」
「うぅ……」

「何よ、もう。折角の海なんだからもっと明るく行こうよマヤ!!」
「………………。」

「…別に泳げなくたって海はエンジョイ出来るよ?」
「うるさい、泳げるあんたが言っても説得力ない。ほら、あんな小さな子も泳いで…」
「周りは気にしないの!」

「しかもやたらカップル多いし…何か悲しくなってきたよぅ。」
「まあ、カップルが多いのは私も同感なんだけど。まじリア充爆発しろ。

「…てな訳で、海やめてどっかお店行かない?」
「それは駄目。今日のためにしっかり準備してきたんだから!」
「あ、そう。じゃあ私は見てr「あんたも海入んなさい。」


「えー。」
「『えー』じゃない!入るだけで良いからさ。」
「…そこまで言うなら……」



  ―数分後―

「うわ、あんだけ海嫌がってたマヤの方が海に映えるとかー。」
「映えない。断言する、私は海になんて映えない。」
「いや、だってあんた肌白いし綺麗だし。他の人みんな焼けてるから余計に。」

「…もういいや。暑すぎて反論する気も失せた。」
「海入れば?」



「ひゃあっ!冷たい!!」
「わ〜、ほら海気持ちいいじゃん。」
「…入るだけならね。」

*「きゃ〜待ってぇ〜!!」
*「ここまでおいで〜!!」


「「…………………。」」

「…なんてベタなカップル。」
「…もっと奥行くか。折角の海が不快だ。」
「奇遇だね、私も丁度同じこと思ってた。」



「奥はもっと冷たいなー…何か、寒くなってきた…」
「そう?私は平気だよ?」
「マヤは寒いのに強いじゃん。」
「それもそうか。」

*「ねえ、何アレ!?」
*「何だあの渦は!?」
*「皆さん、危ないので近付かないで下さいー!」

「…?何かあったのかな?」
「渦があるとか言ってたけど。」

「こんな中途半端に浅いところなのに、渦なんて出来るの?」
「出来るんじゃない?でも、普通だったらそんな騒がないよね…?」

*「君達、早く逃げて!!」

「「え!?」」

「な、何か渦がこっち向かってきてるんだけど!?」
「言ってないでマヤも早く逃げて!!」
「い、いつの間にそんなところにいんの!?」


友達は既に岸辺にいた。

マヤも必死になって岸辺へ向かう。

「(う、渦の方が早い…!)」
「何で歩いてるのよ!!」
「だから泳げないんだってば!!水中で走れる訳ないでしょ!!?」


グルグルグル……

「あれ、緑色…!?うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「マヤー!!!」

友達の呼んでる声を最後に、私は緑色をした謎の渦に飲み込まれた。
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