『気分』

□空回り絡まる
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ただいま、大好きな佐藤一樹先輩(♂)とメール中。

「単刀直入にお願いしたいことがあるんだけど。」
「何ですか?」
「友達が、それぞれ女子連れて今度一緒に遊びに行こうって言ってて。」


「え、それはデート!?…ではないか。」

舞い上がっちゃって、アホか。
自分で突っ込んでおいてなぜか空しくなるのはさておき。

「それで私を?私は良いですけど、先輩は私で良いんですか?」
「仲良い女子ってお前くらいしかいないんだよ!!(汗)」


佐藤先輩本人には悪いけど、他に仲良い女子がいないのは正直嬉しい。

「じゃあ行きます。いつにどこですか?」

―――――――――――――――――――――――


―――当日。

「…あ、やっぱりお前もか!!」
「なんだお前もかよー。ま、当然かな?」
「どうせ佐藤も無理だろうよ。」

公園で待ち合わせしているのか、二人の男子高校生がいた。

「あ、いたいた。おーい!」
「佐藤…!?
「おま、ちょ、マジで!?」
「ん?あれ、お前ら女子来なかったの?」
「俺らに女友達なんかいるわけないだろ!!このリア充め!!!」
「冗談で言ったのにマジで連れて来る馬鹿がいるか!しかも結構可愛い子とか!!」

「え、え、え。」

「あのー…」
「「っ!?」」
「えっと……私、いない方が良かったです、か…?」
「い、いや!!そんなことは全っ然ないよ!!!な!?」
「う、うん!そうだよ!!むしろ大歓迎!!!」


「…佐藤先輩。」

ちょっと、どうしても言いたくなったので先輩に小声で愚痴ってみる。

「何?」
「男子って面倒くさいですね。特に非リア男子。」
「う、うるせー!てか折角可愛いって言われてるんだからあんまり余計なこと言うと逃げられるぞ。」
「別にいいです。興味ないですし。」
「お前意外と欲張りだな。」


ちょっと意地悪そうに言ってきた先輩の笑顔にきゅん…
じゃなくて、先輩そもそもあなたさえ逃げなければあとどーでもいいんですよ。と言いたいけど我慢。

「おい佐藤!お前ばっかりずるいぞ!!」
「そうだそうだ!!!」
「佐藤先輩もう帰りませんか?この調子だと、私一時間も持ちそうにないです。」
「…だそうなんだが。」
「ご、ごめんね!えーっと、名前は……」
「佐々木です。佐々木華鈴。」
「かりんちゃん、嫌な思いさせてごめん。良かったらこれから佐藤も一緒で遊びに行かない?」
「佐藤だけ女子連れてきたことに嫉妬しちゃっただけなんだ。ごめんね。」
「いえ別に…」
「よくよく考えてみれば、佐藤は結構可愛い顔してるし背も小さめで女子受け良さそうだもんな。」
「お前ら……」

「別に、私は先輩の悪口聞きに来たわけじゃないんで。」

…あ、やば、静かになっちゃった?んーまあいっか。
好きな人の悪口聞くこと程疲れることないし……

「…それで、どこに行く予定なんですか?」
「あ、えっと―――」
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