「「……ぇえー!?」」
木々が赤い色を綺麗に付け始め、秋もいよいよ本番を迎えようとしている晴れ晴れとした気持ちのいい朝。
よーし待ちに待った修学旅行だやっほーいとばかりバスに乗り込もうとした矢先に、班のメンバー6人中、なんと4人が欠席したと担任から知らされた。
俺は隣にいる同じ班の横田と共に驚愕の叫びをあげたわけだが、その実心の中ではガッツポーズを掲げ、テンションは正に最高潮なのであった。
……作戦成功だ。みんなごめん!
キタコレ展開
今日から、2泊3日の修学旅行が始まる。
そして、この度の修学旅行でめでたく同じ班になることができた横田の事を、かれこれ2年程想い続けていたりする。
修学旅行だなんて…!
風呂とか風呂とか風呂とか、あと消灯時間の後のいちゃいちゃ…じゃなかったマクラ投げとか、色々楽しみ過ぎて吐きそうだ。
まあでも、何より俺が楽しみなのは横田がいるからなんだけどね。
横田も集合時間の10分後くらいには来たし、寝ぼけまなこで髪ぼっさぼさで登校してくる横田も可愛かったからグッジョブマジ良かった!
っという訳で、俺は期待に胸(と股間)を膨らませながら、京都へ向かうバスへと満を持して乗り込むのであった。
* * *
「それにしても全員休むとか…」
「やばいよな!?っやばすぎる!つつつかさ、これでうちらの班俺とお前だけになっちゃったよやっぱりやばいよな?(特に俺の理性が)」
「うんー……やばい?」
「いやいや考えてみ?元々6人部屋の大きな部屋がさ、今日は俺達だけで使えんだぜ?テンション上がるじゃーん!」
「あー…うん、そうだね」
「うおぉいテンション低いな!」
アレ?俺がテンション高すぎなのか?
……ご覧の通り、基本的に横田はあんまり口数が多くない。
俺がガンガン喋りまくるのを、横田はぼけーっとしながら聞いたり聞かなかったりして、相槌を打ったり打たなかったり、そしてたまに言葉を返してくるってのが俺らの定説だ。そんな横田が大好きです。
「……そういえば、何で4人共休んだんだろ」
「や、なんか腹壊したらしいぞ」
「それは可哀相だな…」
「だよな。まぁ腐ったケーキなんか食ったらそりゃ腹も壊すよな」
「えっ、何でそこまで知ってんの?」
「えっ、それは(山下達にそのケーキ食べさせたのが俺だからです!)」
なははは!知らね!と適当にごまかしつつ(大抵こんな感じでも横田はごまかされてくれる)、外はもうすっかり日も暮れてお待ちかねの修学旅行1日目の夜が始まります。