サ ク ラ サ ケ !
□ご用改めであるー!
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私は桜井萌恵。
現在大学2年生。
友だちと京都へ旅行にきてます。
『新選組巡りなうー!』
「誰に言ってるの?」
『これ読んでるひ…「言わなくていいや」
『……はい』
友だちの鋭い視線に突き刺され、萌恵は押し黙る。
言っていいことと、悪いことってあるんだよね。
私たちは念願だった「新選組巡り」の真っ最中。
ずっとずっと前から計画をたて、お金を貯めて3泊4日の旅が実現した。
「萌恵、荷物多くない?」
『いやー…みんなに会うとなると服とか決まんなくって』
「みんな?」
『うん。新選組のみんな』
「……好きすぎでしょ」
『そりゃあ もう…!』
好きすぎてたまらないんです。新選組が。薄桜鬼が。
萌恵は大きめなキャリーバックを引きずり、鼻唄を歌いながら先立って歩いている。
まだ少し冷たい風が、頬をかすめる。
桜の木々は薄く色付き、春の訪れを待っているかのようだ。