サ ク ラ サ ケ !

□色男
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『も、もう無理……』

「部屋を抜け出した罰だ。仕方あるまい」


正座をして1時間くらいだろうか。そろそろ足の感覚がなくなってきた。



先ほど土方さんの部屋に入った私と総司君。

言うまでもなくこっぴどく叱られ、挙げ句の果てに正座をしていろと…。

総司君は稽古がどうとか言って上手いこと逃げていった。ちくしょう。






「何故部屋を抜け出したのだ。副長に部屋にいろと言われていただろう」


『…千鶴に会いたかったんだもん』


言いつけを守らなかったのは悪いと思ってる。でも…でもね…!



千鶴に会いたかったのは勿論のこと、これから生活する屯所の中も見ておきたかったし…何よりも…




『部屋に独りぼっち怖かったんだもん…!』

「!…なっ…泣くな」


思わず涙した私を見て焦る一君。
珍しく取り乱している。



そこに見覚えのある大きな人がやってきた。




「斉藤、何泣かしてんだよ」


『佐之さん…』


巡察から帰って来たのであろう佐之さん。


「お、俺が泣かしたのではない」


佐之さんは一君をちらっと見た後、私に目を向ける。




「で、何で泣いてんだ?ってか何で正座してんだ?」


『ちょっ…と、いろいろあって…ですね…』



私はえぐえぐしながら、今までのことを佐之さんに一通り話す。






「はー…」


話を聞き終えた佐之さんは頭をポリポリ掻きながら、溜め息を一つついた。


あ、呆れられちゃった…?








「仕方ねぇな…ここで少し待ってろ」


『え?』


佐之さんはそう言い残すと、何処かへ行ってしまった。

ポカンとする私。
きっとすごい阿呆面だろう。


「佐之助のことだ。屯所の案内でもするつもりだろう」
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