サ ク ラ サ ケ !
□千鶴ううう!!
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歩く距離をのばすにつれ、ご飯のいい香りが鼻をくすぶる。
トントンと規則正しく聞こえてくる包丁の音。
おそらく千鶴が包丁を握っているのだろう。
やべ…何かちょっと緊張してきた…!
「萌恵、着いたぜ」
そう言って台所を覗く佐之さん。
ど、どうやって声掛けよう…。
やっぱはじめましてからだよね。うん。
『は、はじめまして!萌恵でござりまする!よろしくお願い致します!』
何てちょっと堅いかな…!?
あああ!どうしよう…!
そうこう考えてる間に声を掛けようとする佐之さん。
ちょっ、ちょっと待って、心の準備が…!
「千鶴、いるか『千鶴ううううううううううううううう………う?あれ?一君…?』
「……………何だ」
『何故』
台所の中は私が予想をしていたものとは全く違った。包丁を握る一君。右を見ても左を見ても千鶴の姿はない。
ということは……さっきの包丁の音はもしかしてもしかしなくても一君?
え?何かエプロン着けてるし…。
あ、何か…あれ。どうしようこれ。