サ ク ラ サ ケ !

□やっと…
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『ぬぅ……む、難しい…』


慣れない包丁に苦戦する私。
大根がまともに切れない。

この包丁切りにくいよ…!




『んー…困った。…って、わわわっ…!』



包丁を片手に悩んでいると、背中と右手に温もりを感じた。







『は、一君?あの…?』

「これはこう握れ。そして、こうやって…」



一君は私を後ろからすっぽりと包み、右手に自分の手を添えて大根を切っていく。


ちょっと…これはまずいよ…!


頬に熱が集中するのがよくわかる。
一君は丁寧に教えてくれているけど、こちらはそれどころじゃない。







私、すっごいドキドキしてる。





「萌恵、聞いているか?」





『…………』




「萌恵?」




『は、一君…』




「何だ。質問があるのならするといい」








『ち、近くて…その…緊張しています…です…』


「……………!す、すまない…!」



一君はしばらく考える素振りを見せ、はっとした様子で、私から離れる。


無自覚だったのか。
この天然タラシめ…!















『…あれ?一君って左利きじゃなかったっけ?』


「あぁ、右でも切れる」



プロだ…。
そんなこんなで料理を作っていくと、パタパタと足音が聞こえてきた。
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