はじまりのとき
□やってしまった。
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完全に壁に押さえつけられた私。
10年後の雲雀さんは完全に大人の男の人なわけで。しかもアホみたいにイケメン。
頬に熱が集中している自分に気がつき、更に頬が熱くなる。
「ワォ…真っ赤だよ、恵美」
『………っ』
とにかく近い!
近いんだよ雲雀さん…!
「ねぇ…何時もみたいに名前で呼んでよ」
『い、何時も見たいに…?』
耳元で囁く雲雀さん。息がかかってくすぐったい。てか名前で呼んでって何。
「ねぇ…」
『………っ…』
「呼んでよ」
『っ…きょっ……恭弥…さんっ…?』
私は恥ずかしくて顔をあげられず、下を向いたまま呟く。
「聞こえないね」
聞こえないね…って!
絶対聞こえてたでしょ…!
「10年後の君は僕のこと呼び捨てで呼んでいたよ」
…10年後の私って命知らずなのかしら。てかやっぱり聞こえてるじゃん!
真っ赤な顔でむふーっと膨れている私。
そんなふてくされている私の気も知れず、顎を持ち上げられ上を向かされる。
「可愛い」
徐々に迫ってくる整った顔。
心臓が飛び出そう…!てか、ダメだって!
『ちょっ……きょっ、きょきょきょ恭弥っ、やめっ…』
「極限に何をしているーーーーーーっ!!!」
『って……え?』