雨降る街の死神
□02.
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「絶対あの人だって!!」
翌日登校してきた総司を迎えたのはりせの怒鳴り声だった。アイドルがそんなに大声を出していいものかと思ったがあえて黙っている。
「おはよう。どうしたんだ?」
「ああ、瀬多「聞いてよ先輩!皆私の話信じてくれないんだよ!!」……おい」
りせに遮られた陽介は不満そうだったがとりあえすりせの話を詳しく聞くことにした。
―曰く、昨晩のマヨナカテレビに映った人物にそっくりな三年生がいるそうで。
「つってもよ、話したこともないのにどうやって接触するんだよ」
至極もっともな発言にりせもう、と言葉を詰まらせる。
「そ、それは〜なんとかしてお近づきに…」
「なんとかってなんだよ…」
肩を落とす一同。
「でも、まだ決まったわけじゃないんだし一度様子を見にいってみたら?」
雪子の言葉で成り行きか必然か、一先ずはその先輩の容姿を確かめることになった。
「あっ、あの人!!」
「どれどれ〜」
あまり来る機会のない三年生の教室にぞろぞろと集まる六人組。…はっきりいって怪しくないか?
廊下から中を覗くと目的の人物らしき三年生は窓際の一番後ろの席に腰かけていた。俯き気味で顔や表情ははっきりとは認識できないが、成程確かに髪色とイヤホンは同じように見える。
「どんな人なのか知ってるの?」
ひとまず場所を屋上に移した一行はなんとか先程の人物についてまとめてみることにした。
「え〜っとね、名前は有里湊先輩。今年の四月に都会から転校してきたんだって」
「おっ、お前と同じか」
確かに、越してきた時期も都会から来たというのも同じではある。
「全然知らなかったね」
「三年生の間じゃ結構噂されたらしいんだけど…私その当たりは詳しくないんだ」
「噂?」
生憎自分はそのころ噂される側だったので全く知らない。当然、その頃この学校に居なかったりせも知らないだろう。
「あ、何か聞いたことあるかも。確か一年留年してるんだっけ」
「マジで!?」
成る程。それならば噂になったのも頷ける。田舎に暮らす者にとって都会から来た生徒は珍しいし、留年というのもまた珍しい。
「留年っつーとあれか、問題起こしたとか。成績が酷かったとか」
「それが学年トップクラスの成績持ち」
「雲の上の人か…」
軽く落ち込んだ陽介は放っておき、どうにか接触する方法を考える。
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