恋に落ちた海賊王 夢小説
□forza
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「紫桜ちゃん…」
紫桜ちゃんを、私の脚の間に座らせて 後ろからそっと抱きしめてみる。
「今日は冷えるね」
『…そうですね』
私が抱きしめる事に、特に抵抗する様子のない紫桜ちゃん。
…誰にでもこういう事させてるんじゃないかって、少し不安になるな…。
「ねぇ紫桜ちゃん、愛って何だか分かる?」
『愛…ですか?』
私の突然の問い掛けに、少し首を傾げる紫桜ちゃん。その一つ一つの仕種が とても愛しいよ。
『愛…、よく 分かりません』
「そうだよね。ごめんね?変な質問して」
『いえ。…でも、私はずっと前から 一人の男に愛されてます』
「…え?」
『そいつは少し似てるんです。私を紫桜ちゃんと呼んで、優しく微笑むところが…、ソウシさんに少しだけ…似てるんです』
「…」
紫桜ちゃんは穏やかな表情で、遠くを見据えるようにそう話した。
「…好きなの?その人のこと…」
『…分かりません。でも、一緒にいると たまに…これが愛なのかなって思うことがあるんです』
「…、」
『だから…多分、私も愛してるんだと思います』
ギュッ、
そこで少し、紫桜ちゃんを抱きしめる腕に力を入れてみる。
『…ソウシさん…?』
「…苦しい」
『え?だ、大丈夫ですか?』
「胸が苦しいよ」
『…え?あの…』
「紫桜ちゃんの好きな人…、私に似てるんだよね?なら、その人よりも先に 私が君と出会っていたら、君は私を愛してくれたかも知れない…」
『…』
…紫桜ちゃんは私の腕からすり抜けると、私と向かい合うように座り直した。
「紫桜ちゃん…」
『それは、多分違うと思います』
「え?」
『私は、あいつだから愛してるんです。いくら似ていても いくらかっこよくて優しい人でも、あいつじゃなかったら愛さないと思います』
「…」
『求められれば拒まないし、愛してくれれば嫌いにはならない。でも、私が愛しているのはあいつだけなんです。…すみません』
「…素敵な関係だね。羨ましいな」
forza
いくら強い力で抱きしめても、君の心は揺るがない…。
君が私を愛してくれる日は、一生やって来ないんだろうな…。
End.
20110618.